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2007年3月22日

教育問題について

3月例会  3月22日 (木)
      19:00から21:00まで
場所    学士会館 310号室
担当    時藤 稔明
テーマ   「教育問題について」


 今年は情勢判断のテーマとして「教育問題」を取り上げることになりましたので、まず今年の前半は各自の視点で幅広く問題を掘り下げ、後半は焦点を絞って情勢判断学会として方向性、具体的活動の合意が出来、来年度は行動が出来たら良いなと思いました。
そこで私は教育問題について正面から考えたことがありませんので、今なぜ教育が問題と言われているのか、社会問題の原因は何なのかを概観し、解きほぐしてみました。概観するときは仕方ないと思いますが、情報源としては本、新聞など活字に頼らざるを得ませんでした。出来るだけ事実に基づいて語っている本をベースにしました。

混乱の現象と原因として参考図書から次のようなものを抽出しました。
1.夫婦の問題について
(1)家庭崩壊の本当の理由は夫婦の性の不一致。問題を解決する大前提は自己中心でないこと。
(2)熟年離婚の場合「家族のために働いてきた。定年後は女房と一緒に旅行をしてゆっくりしたい。女房もそう思っているはずだ」と言うご主人の思い込み。固定観念で夫婦関係をみて、しっかり関っていないことが問題。
2.男性が多い、引きこもりについて
(1)父親との人間関係の失調が問題。例えば「ダメ」「ダメ」と否定的評価ばかりされ、夢や希望をなくする。男の役割、戦う、守る、責任を取る、逃げないことなどを教えられていない。
(2)躓いて、こけても、家にいれば困らない環境。
3.歴史的に見て、現在の混乱の原因は
(1)戦後の日本は嘘から始まった。例えば、敗戦を終戦に、占領軍を進駐軍に言い換え、日本国憲法は日本が作った、憲法9条が平和を守ったなど。それでも高度成長で経済が良くなったので、目の前の豊かさに目を奪われて嘘の現実を直視しようとしなかった。
(2)アメリカの独立やフランス革命に影響を与えた『近代思想』すなわち誰にも縛られない「自律的な個人」は、アメリカでもエゴイストの利己主義やミーイズムの視野の狭い自己中心主義を生み出し、社会問題になった。ましてや、キリスト教の宗教的背景のない日本人が表面的に「個人主義」を観念的に取り入れたところに、現在の混乱の原因がある。
(3)自然や相手を否定抹消する西洋文明と違って、日本には自然や他人と調和する「お蔭様で」というような文化や「己に打ち克つ」「挫折中から魂は磨かれる」など人間形成の方法があった。
(4)江戸時代から身体はモノとして捉えられ始め、明治のドイツ医学を取り入れてからそれが加速した。そのため「自己を超えた大いなるものとの一体化をもとめた」ような身体感が薄れていった。

 以上の抽出した混乱の「現象」と「原因」をKJ法でまとめ、「なぜ」「なぜ」を繰り返し、日本の混乱の根本原因を探ったものを次ページに示します。今後の情勢判断の参考にして頂ければと思います。

4月の運営委員会で「7月までの各自からの発表を受けて、問題の整理を榊原さんにして頂き、9月、10月、11月の3回を掛けて討議を行う」ことになったと聞きました。楽しみです。

参考図書:
「愛のヨガ」ルドルフ.V.アーバン著
「危ない夫婦の再生術」荒木次也著
「引きこもり」荒木次也著
「出来る人はどこが違うか」斉藤孝著
「他力本願」五木寛之著
「人口減少社会」古田先生著
「日本人としてこれだけは知っておきたい こと」中西輝政著
「近代化の忘れ物」久保田信之著
「日本人の身体感の変化」養老岳司著
「江戸時代の人つくり」久保田信之著
「近代アメリカの教育概念史」田中智志著

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