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2008年3月15日

企業社会におけるストレス

日時  : 3月13日  木曜日
      18:30 ~ 20:30
場所  : 港区立商工会館
参加費 : 1000円
テーマ : 「企業社会におけるストレス」
担当  : 今井 裕幸

私は、職業紹介コンサルタントということを本職としており、日頃、転職希望者との面談をおこなっています。その面談を通じ、企業社会のなかの、サラリーマンやOLの持つストレスを聞く機会が多い。今回は、企業社会における転職希望者の受けるストレスの視点から、情勢判断をしてみます。
 年功序列が崩壊し、成果主義がとられるようになってきたが、この経営者側の理論は、戦後続いてきた、サラリーマンの賃金テーブルを大きく変える危険性をはらんでいる。つまり、生涯の賃金テーブルを大きくかえ、若い時代の部分で収入の最大値を迎え、その後の中高年の時代においては、極端な二極化を生み出す結果となっているということだ。

その状況の中で、若いうちに仕事や私事に専念しすぎる為に、晩婚化がすすみ、少子化がすすみ、核家族化がすすんでいっている。人生の問題の先送りを続けていっているうちに、どうにもならない状況に追い詰められたり、企業社会から放り出されたり、一度離れた企業社会から、再復帰が難しい状況をつくりだし。それが、各個人にとっては大きなストレスとなって現れていると思われる。

終身雇用年功序列の賃金体系の下では、生涯賃金の後払いのような取り決めで、若い時に頑張っておけば、年をとってから管理職ポストで高い賃金を支払うという仕組みを作れた。成果主義の名の下に、雇用上最もニーズのある若い時期に多くの賃金を支払い、雇用を確保し、稼いでくれるピークを過ぎればあとは知らないよということが出来るようになったのである。

核家族化のなかで、長期の住宅ローンを抱える必要もうまれ、いつリストラされるか分からない状況のなかで、長期的な生活設計が組めない状況となっている。
女性の社会進出といわれ、女性総合職も誕生し、晩婚化と出産時期の遅れから、責任が出てきた時期に、色々なことが重なってしまう。企業における女性社会の現場では、子供をあきらめて仕事を続けるか、子育てしながら仕事をしてゆくか、現場での二極化と対立がくすぶる結果となってしまう。一度、企業社会から離れて、再復帰するには、多大な努力と幸運がなくてはならない状況となっている。

企業経営者の側にも、国際競争力の問題や、ヒット商品・社会インフラの変化から、ビジネスモデルの短期化があり、短期間での規模の拡大とリストラの繰り返しとなり。長期の経営計画がたてにくくなり、人員計画もその場しのぎとならざるを得なくなっている。
そのような状況のなかで、安易に転職しようとする転職希望者が増えており、一方で、リストラを受けて再就職を余儀なくされている人も増えている。若者の中で、ニートやフリーターの増加から、若いうちに確りした実務経験をつけている労働力が減少している。
又、ワークライフバランスという言葉が注目されているが、企業社会と家庭生活の両立のなかで、離婚問題も増えており、女性の自立の意味からの再就職のニーズも増えている。
現状に対して、まじめに取組んでしまう人ほど、鬱的状況になってしまう人もいるようだ。いったんそうなってしまうと、企業社会は大変冷酷である。現在勤務している会社から放り出され、新しく転職しようとする会社からもシャッタアウトされてしまう。それが分かると、再就職も困難を極めることが多いのが現状である。
このような状況のなかで、ストレスとどう向き合ってゆくのか、どこでどのように効率よく、解消してゆくのかが問題となってきます。

 自分自身の経験からいうと、あまりストレスを感じると考えたことは無い。まわりの人から見ると、かなり追詰められた状況にあるように見られている時も。自分自身ではそれ程ストレスと感じたことは無かった。
比較的若い時期に、城野理論や天風哲学に出会い、感情の統御の仕方や、潜在意識を変えてゆくトレーニングを積んできた成果だとは思います。ピンチをチャンスに変える発想を作り、鬱状態を解消する具体的な方法は、色々あります。
 脳力開発の基本も、「楽しみの人生にしますか? 嘆きの人生にしますか? 」という戦略の決定です。決心覚悟をもって、楽しみの人生にすると、戦略を決定したならば、主体性をもって、楽しみの人生にするために取り組むということです。
 相手に両手を捕まれた状況を、どう捉えるか。通常の発想では、相手から自分の身が拘束されている状況として、自分が不利な状況にあると考えるのですが、脳力開発の武道、「護身道」では、相手も両手が使えない状態だから、自分が相手の両手を拘束している状況なので、自分の方が有利な状況にあると考えるわけです。そこから相手に勝つための戦術を組み立ててゆきます。全く同じ状況でも、捉え方と考え方一つで、状況を逆転させることが出来ます。
 城野先生が獄中で、いつ処刑が実行されるか分からない状況の中で、獄中を活きた情報を得られる最高の勉強の場と変えていった体験から生まれたものです。現状を受入れつつ、肯定するところからはじまります。脳細胞のシナップスをポジティブな発想の方へ習慣づけていくわけです。
○ 精神的姿勢の確立
「主体性」「進歩性」「協調性」
○ 思考方法の整備
「簡略思考」「対比思考」「多角度志向」
「客観思考」「具体思考」
○ 実際知識の拡大
「連係知識」「情報収集」「人的ネットワーク」

 私自身の人生のなかでは、財団法人天風会でのトレーニングの方が身についていたと感じます。無意識な行動の基本を作る、潜在意識を直接変えてゆく、「観念要素の更改法」「積極精神養成法」が基本になります。その具体的なHow to do として、「命令暗示法」「断定暗示法」「連想暗示法」があります。心の強さを作る、具体的な方法論が確立しているところが実行しやすいと思います。
「たとえ身に病があっても、心まで病ますまい。たとえ運命に非なるものがあっても、心まで悩ますまい。否一切の苦しみをも、なおたのしみとなすの強さを心に持たせよう。」ということです。現在の状況がどのような状況であろうとも、それにはかかわらず、現状を受け入れて、積極的に考えることが出来るかどうかが問題です。
天風哲学でいう、「平和」という概念は、何も無く過ぎてゆく事ではなく、「暴風荒波の中を、巨大な戦艦でもって突き進んでいる状態」だと表現されています。「何かあるのが人生だ、息している間は希望を捨てるな」極限の状況を体験してきた中から出てきた言葉だと思います。
 最近勉強している、カウンセリングの手法の応用では。「理想の自分、理想の人生を実現する為のカウンセリングシート」に、毎日、ポジティブで理想的な項目をイメージして、思いつくだけの項目を、書き出してゆく方法があります。脳細胞のシナップスを、積極的なプラスの発想につないでゆくトレーニングです。何度も繰返し行うことにより、脳細胞のすじみちを作ってゆく方法です。カウンセリングシートを使うだけで、大変簡単に実行することができます。毎日繰り返し続けてゆくことで効果が表れます。

 私自身は、20代前半で、天風会や情判会に出会い、ポジティブな発想を作るトレーニングを身に付けましたが、後天的なトレーニングですから、もともとは、それほどポジティブな性格ではなかったと思います。しかし、具体的なトレーニングを実行することにより、かなり人間の性格は変わるものだと感じています。
私は、求職者との面談の中で、2つの質問をすることにしています。
 一つ目は「あなたは運がついていますか?」という質問です。この質問に対して、直ぐに「自分は運がついている人です」と即答できない人が、意外と多いのです。企業は運がついている人を採用したいのです。運がついている人が自分の組織に入ってくれば、自分の組織にも運がつきます。運がついていない人が自分の組織に入ってきたら、不運まで舞い込んできてしますます。運がついていると思うか、ついていないと思うかは、自分の捉え方だけの問題です。自分で自分の人生を否定している訳です。
 二つ目の質問は「あなたは幸福ですか?」という質問です。これにも、自分は幸福だと断言できない人が多いことにおどろかされます。幸福か、幸福でないかは単に自分の心が決めるだけのことなのです。そこに絶対的な基準があるわけではありません。現在の状況がどうあろうが、なかろうが、「私は、世界一幸福です」と断言できることが大切なのです。
自分の人生と現状が肯定できているのか。現状を肯定して、ポジティブに発想することが出来れば、それほどストレスを感じることも無くなるのではないかと思います。
 このような時代だからこそ、脳力開発の理論を、ストレスと向き合うための理論として活用して、普及させてゆかなければならないと思います。