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2011年8月23日

平成23年7月例会報告

日時  : 7月13日  水曜日
      18:30 ~ 21:00
場所  : 港区立商工会館
テーマ: 城野先生のDVD「東西古今人間学」の発刊を記念し、鑑賞会を実施。
報告者:古川 彰久
 

 今回は鑑賞会の初回で、これまで城野先生にお会いしていない方が殆どでしたので、できるだけ先生のお話を生で聞くほうに時間を使うほうが良いと考え、第1巻第1回を2時間強かけてお聞きしました。
 
 私としては、東京でのご講演にも出席させていただいたので、再度、先生のご講演を受けているような気持ちで改めて情勢判断学の勉強をさせていただいた気持ちです。

 1回分を2時間強かけて聞くと、折角ご関心ある方々が集まったのに、お互いに意見交換をする時間が殆どないのが残念であります。

 先生のご講演を一人で聴くよりも関心がある人が集まって聞くほうが臨場感があるとは思いますが、DVDを購入して聞きたい時に聞けばよいという考えもあろうかと思います。

 折角、情勢判断学にご関心のある方々ですので、先生のお話をベースにして、お互いに大いに意見交換するのもよろしいかと存じます。
 
 次回の鑑賞会では、その点も含め、参加者のご意見を伺いながら進めさせていただきたいと考えます。

 今回の報告としては、お聞きした第1巻第1回の要旨を私なりに整理してみました。

DVD「東西古今人間学」第1巻第1回要旨

1.足を使い、頭を使い、人間と人間との関係を作ること大切である。仕事をするには協力する仲間を作る必要がある。
相手の人間がどのようなものか見て取る。自分という人間がどのようなものか見て取る。人間を見て取るのが人間学である。

2.東西古今人間学では、日本、中国、ヨーロッパの傑出した人物につき、その動きを研究し、どうしたらうまくいき、どうしたらうまくいかないのかを探し出す。

3.普遍性の基礎の上に、違い(特殊性)を見ていく。人間は基本的にはどこでもいつでも同じ(普遍性)であり、環境が異なる(特殊性)。どのように手と口を動かしているか、記録から判定する。

4.天下を統一する戦争においても、日本と中国・ヨーロッパとは戦略は同じでも戦術は異なる。
漢の高祖・劉邦、秦の始皇帝は敵を全部滅ぼす。
ヒットラーの場合も、対抗馬を殺す。
経済とは飯を食わせて、住居に住まわせ、着物を着せることである。牧畜と農耕では異なる。

5.牧畜には水が不可欠であるが、水を確保するのに、共同よりも自分を守ることが優先される。ここに個人主義の考えがでてくる。又、一方で、分散しているものを集めて仲間を作るために神が要ることから宗教が必要となる。

6.農耕の場合には、協力してやっていくことが要求される。日本では、高天原の時代には灌漑水道が作られたといわれる。米を作るには水路が必要であり、田植えを短期間に行うにも共同が前提となる。更に台風の季節に行う収穫作業も共同が必要である。このような社会では、宗教よりも、村八分が一番怖い。

7.人間の普遍性と特殊性について、日本、中国、ヨーロッパにおける、みなが知っている有名な人を取り上げ、その人たちの行動に関する事実を集めてみて、これまでみなが抱いてきたイメージと比べ、本当はどうなのかを確かめてみよう。

8.たとえば、石田三成について、皆さんのイメージはどうだろうか。やり手だが人望がなかったとのことだが、本当はどうなんだ。
関が原の戦いで敗れたとはいえ、西軍の指揮官として、大大名を傘下に集めている。人気があって、信頼があったということではないか。
石田三成は朝鮮戦争で指揮を取っている。 この戦争で20万の軍隊を船舶輸送で送った上に全部収容した。このようなことは古今未曾有のことといえる。
9.事実を確かめて、真実をつかむ訓練をする必要がある。印象やニュースをそのまま受け入れてはいけない。
楠木正成はゲリラ戦の天才といわれているが、率いる兵力は赤坂の戦で500人、金剛山の戦で500人、摂津川津を貰った境川でも500人と全然増えていない。
古事記で日本武尊は2メートル近くの大将軍といわれているが、個々の行動の内容を見ると大軍を率いる軍司令官のイメージとは違う。

10.織田信長のケース
 (1)織田信長の短気説
   鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス
   本当に短気だったのだろうか。
   桶狭間の合戦:科学的計算性に基づく奇襲戦
   美濃の斎藤:内部撹乱、時間をかけて
   浅井・朝倉:内部崩壊を待つ

(2)織田信長、漢の劉邦、ナポレオン、天下統一の戦略を持つ:発展していく、兵力が増えていく。
上杉謙信、武田信玄、兵力が増えていない:天下統一の戦略をもっていない。

(3)具体化していく戦術の面:科学的計算性
桶狭間の合戦、長篠の合戦

(4)桶狭間の合戦
   今川義元:2万7千人の戦力
   織田信長:3千人の戦力
   
戦略決定:戦うか、降参するか
    2つのうち1つを取らねばならない
戦略を決めないと戦略に服従した戦術が出てこない
大胆に決める(信長:断固戦う、決断)
   戦術:戦略を達成するためのプロセスを組むこと。無数にあってよい。都合の良いものを選ぶ。
   科学的計算性、勝てるように、細心にやる。
   できないことはやらない、できることをやる、やさしいことをやる。
   
今川義元の首を取ればよい
   どこで討ち取ればよいか、敵情視察
   指揮官の性格(お公家さんの真似をしていて、武将ではなく、戦略的には浅はか、部下が信念に燃えているわけではない。)
   味方の兵力、装備
   地形形状を考える。
   敵がどこで休憩を取るか:田楽狭間

 (5)織田信長は天下統一の戦略があり、それを実現していく戦術において綿密な科学的計算性がある。
   戦略のない戦術は無意味、戦術のない戦略は空想に過ぎない。
   戦略を持ち、それにしたがって科学的計算性を持つ戦術を立てれば、必ず成功する。