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2012年3月25日

平成24年2月例会の報告

日時  : 2月8日  水曜日
      18:30 ~ 21:00
場所  : 港区立商工会館
テーマ:鑑賞会を終えて、「人間学」と「脳力開発」について

DVD「東西古今人間学」第1回~第6回の要旨の中から、特に行動指針ともいえるものを以下に抜粋してみた。
これらの行動指針から、城野先生の「脳力開発」の原点が、「人間学」あるいは「行動学」にあることが良く分かる。
私たちが現実の行動の中でこれらの教えをいかに活用できるかが、各自の課題といえる。

DVD「東西古今人間学」第1回~第6回から
導かれる行動指針
1.人間学について
(1)足を使い、頭を使い、人間と人間との関係を作ること大切である。仕事をするには協力する仲間を作る必要がある。
相手の人間がどのようなものか見て取る。自分という人間がどのようなものか見て取る。人間を見て取るのが人間学である。
(2)普遍性の基礎の上に、違い(特殊性)を見ていく。人間は基本的にはどこでもいつでも同じ(普遍性)であり、環境が異なる(特殊性)。どのように手と口を動かしているか、記録から判定する。
(3)相手とうまくやっていこうとするならば、相手を見極め、確定的事実をつかみ、人間を研究することが大切であり、人間関係の中でどのような対応をするのか、理解を深める必要がある。
(4)眉間にしわを寄せて、人と付き合わず、いやな思いをしながら、惨めな人生を生きるのもよし。
誰とも仲良く、仕事も家庭環境も協力してニコニコしながら生きるのもよし。
 どちらを選ぶか決めるのはあなたです。
(5)仕事とは、関係を作らないと商売が成り立たない。どのような人間関係をどのように作るのか。
「営業をしています」といっても、実際にやっていることは納品であって、営業とは言えない様なケースがある。
「買わん」という人に如何に買わせるのか。買うように人を変えさせるには、人間と人間との関係を考えていくことが大切である。
(6)事実を確かめて、真実をつかむ訓練をする必要がある。印象やニュースをそのまま受け入れてはいけない。
(7)運のような分からないものに頼るのはだめで、運を条件として如何に使うかが問題である。
(8)人間学から学ぶこと
  特に人間の扱い方が重要ですね。
 信長のやり方は、部下を大きくしていく、また、大きくなっていく過程で新しい人材を抜擢する。その下で秀吉、明智、柴田、丹羽、滝川、池田等の武将が大きくなった。
 秀吉は最初は部下はいないが、戦ごとに大きくなり、高松城攻撃に際しては毛利軍全軍を相手にするほど3万人位になっている。信長が秀吉の才能を発揮させたといえる。
2.戦略・戦術について
(1)戦略決定:戦うか、降参するか
  2つのうち1つを取らねばならない
戦略を決めないと戦略に服従した戦術が出てこない。大胆に決める
(2)戦略は大胆に決める。
やるのはそこにいる人間ですから、これまでの経験や知識に縛られているので、新しい方法、戦術はやって見なければ分からない。
決心覚悟により、戦略を決定することにより、戦略到達目標を設定できれば、新しい方法、戦術はいくらでも出てくる。
(3)決心と戦略目標は必要であり、更にやり遂げるための戦術面で詳しい計算が出来なければ駄目。1年目、2年目と計算をしていく。又その計画を実現していく行動を取る。
(4)信長や秀吉が、天下統一の戦略を持っていたことがわかる。
天下統一のためにはたくさんの軍隊を作り、なるべく死なないような戦をする。
(5)信長は人を抜擢した。
上杉や武田は、親から譲り受けた家臣団がいたが、信長には旧来の家臣はいなかった。
上杉は名将といわれているが、柴田の子分の佐々成政を攻め倦んだ。
信長は戦略を持っているので、どんどん抜擢した。
兵力拡大は難しいが、新しいやり方を作る。
(6)戦術:戦略を達成するためのプロセスを組みこむ。
無数にあってよい。都合の良いものを選ぶ。
科学的計算性、勝てるように、細心にやる。
できないことはやらない、できることをやる、やさしいことをやる。
(7)戦術は細心に。
戦略は大胆に決めるが、戦術は細心に、コツコツと積み上げていくことが大切。状況把握のために点検と確認をする。
有利な点、不利な点等具体的に自分の目で、確定的事実を掴み、分析をする。
(8)戦略は大胆に決めねばならないが、戦術も大胆にやったら、失敗する。
戦術は細心に、一つ一つ積み上げていかねばならない。一つの条件が出来ると次の条件が出てくる。一つ一つの条件を変えていくことが仕事である。積み上げていく継続性が無ければ成功しない。その継続性も同じことを継続していくのではなく、一つの条件を満たせば新しい条件が出てくるので、一段一段積み上げていかねばならない。
人間をどのように配置し、人間をどのように評価し、どういう風に人間を使うかという問題が大切である。
人間と人間との関係をうまく構築すると出来ないと思っていたことが出来てしまう。
3.日本の社会と欧米あるいは中国の社会との相違性を見ていく
(1)武道における相違点
  護身道は私(城野先生)が創設した武道であるが、一瞬を大切にする。日本の武道は薩摩の示現流のように一撃を目指す。
  これに対し、中国の武道である少林寺拳法やヨーロッパのフェンシングなどは、型の武道といえる。型を学び、疲れて型が崩れたときにチャンスが出来るという考えである。
(2)人間の動きの違い
  精神構造の根本が違う。
  例えば、米国の場合には多民族であり、どのように1つの組織に組み込んでいくのか問題となる。第2次世界大戦への対応においては、戦略は上部で決めて、下部に戦術的対応を割り当てた。
  日本の場合には、一民族、一言語で、教育も普及し知識が平均化しており、生活意識が統一されている。そのため、国民が自分で戦略を持って動ける。その結果、戦後の復旧においても世界を相手にあれだけのことが出来た。
(3)天下を統一する戦争においても、日本と中国・ヨーロッパとは戦略は同じでも戦術は異なる。
漢の高祖・劉邦、秦の始皇帝は敵を全部滅ぼす。
ヒットラーの場合も、対抗馬を殺す。
経済とは飯を食わせて、住居に住まわせ、着物を着せることである。牧畜と農耕では異なる。
(4)牧畜には水が不可欠であるが、水を確保するのに、共同よりも自分を守ることが優先される。ここに個人主義の考えがでてくる。又、一方で、分散しているものを集めて仲間を作るために神が要ることから宗教が必要となる。
(5)農耕の場合には、協力してやっていくことが要求される。日本では、高天原の時代には灌漑水道が作られたといわれる。米を作るには水路が必要であり、田植えを短期間に行うにも共同が前提となる。更に台風の季節に行う収穫作業も共同が必要である。このような社会では、宗教よりも、村八分が一番怖い。
(6)日本では新しいもの(近年ではエレクトロニクス)の普及が早い。日本には資源がないが、手を使えば良い。豊かな経済が作れる。そのためには大変な金が要る。
信長は占領地が栄えるように、どんどん商売をさせ、物資を流通させた。
(7)ナポレオンから教訓を学ぶ
戦略は自分一人だけ持っていても駄目。部下の一人一人が全部その身に呈した時に力になる。
企業においても、経営者の戦略が、社員の中に生きていなければ戦略とはいえない。自分がこれまでに無い条件を利用できた場合に、うまく乗っかると急速に変化できる。日本の戦後の復興において、欧米のように財閥が金を出したのではなく、日本は国民の一人一人の預金と税金を活用して、波に乗った。この間、英雄は一人も出ていない。英雄は戦略を持った国民だといえる。
日本の社会では英雄は出てこない。皆で仲良くやってどんどん発展させるほうが良い。
(8)毛沢東から教訓を学ぶ
文化的にも経済的にも、実際に即してやったことはうまくいったが、教科書通りやったことはうまくいかなかった。
求めているものをやればうまくいく。
この間、中国は発展せずに、日本がなぜ発展したのか。日本には倒産という制度があるが、中国には無い。
経済は人間の動きである。命を維持するための物質的基礎・手段を作っていくこと。それぞれの国は、昔からの歴史的な違いを持っている。
アメリカ:多民族国家
日本:単一民族、単一文字、統一体になりやすく階級が無い。
西欧(仏、独):貴族がまだ残っており、階級的差別はまだ大きい。
日本では、明治に天皇親政となり、藩屏として華族を作ったが、ヨーロッパやインドのような階級支配は出来なかった。
日本では教育制度も行き渡り、戦略統一が出来やすい。
中国における戦後の日本人の引き揚げは、負けた国の人が整然と引き上げた。
民族的なやり方を把握していき、求めていくものに合致していくことが大切である。
  以上