日時 : 9月10日 水曜日 18;30 ~ 20;30
テーマ :条件学(仮称)について
場所 : 港区立商工会館
担当 :榊原 高明
1. 始めに
仮称であっても「条件学」とするレベルに到っていないと判断し、「条件思考」と改め発表致します。
2. なぜ条件思考を考えたのか
脳力開発を学び始めた当初から、「条件」という言葉の定義がユニークで、使えるキーワードだと関心を持ち、着目して来ました。
この「条件」を世の中の出来事の理解に使ってみたら面白いのではないかと考えました。
参照:脳力開発入門、基礎編 P.70~73
(1) 適用例
諫早湾干拓事業
1) 問題点
1997年に潮受け堤防水門閉鎖後、1990年からタイラギ貝の死滅や海苔の色落ち発生の拡大。
佐賀地裁は5年間の開門認める。
長地裁は開門差し止め命令を出す。
・条件の整理
“今まで通りの生活をしたい” (上位条件)
“開門するな” “開門せよ” (下位条件)
(長崎県) (佐賀県)
一見正反対の主張で戦略的な対立に見えるが、数段上の条件は両者とも“今まで通りの生活をしたい”であり、この「条件」を満足すればよいことが分かる。
この解決手段としては、我が国はあらゆる技術を有している。
3. 波動と確率論的思考の導入
「条件」をキーワードとした条件思考を考えてみたが、世の中の事象をもっとリアルに、動的そして直感的に理解する方法がないかと考えた結果、波動と確率論的思考の導入を思いつきました。
(1) 波動の性質利用
1) 振巾で物事に強弱を表現
2) 波形で物事の内容(イメージ)を表現
3) 方向で運動方向を表現
4) 干渉作用で複数の波形の重ね合わせによって、新しい波形が作られる。
(2) 確率論的思考
不確実性に満ちた複雑な世界においては、成功を持続させるためには、物事を確率論的に捉え、何事も絶対視しないという思考法が重要である。
(3) 例-1
仮に、人生で起こる選択肢が1/2(50%)とすると、10回の分岐を経れば、0.01%の確率。この選択の中には偶然もあるのではないか。
例-2 猿とファンドマネージャーの成績
新聞の株式欄を壁に貼り、猿にダーツを投げさせて選んだ銘柄で運用した場合と、ファンドマネージャー運用成績はほぼ市場平均に近く、あまり変わらない。
例-3 アマゾンにいる蝶が羽ばたくと、テキサスに嵐を起こす。
わずかな変化が、増幅作用などで最終的な結果に大きな影響を及ぼす。
この結果を予測することは出来ない。
例-4 (適用例)漢帝国を築いた高祖(劉邦)
説明図は複雑になるため省略
取り立てて何の才能もなく、老年に近づき、野心もなく、いずれ山中で野垂れ死にする運命の男が、偶然が重なり合って、数年の間に漢帝国を打ち立てた。
例-5 (適用例)イスラム国について
説明図は省略
歴史的には英国とフランスがオスマン帝国の一部領土を分割したことが発端。
ここに複雑な条件、波動そして確率論的不確実性が加わり今日の状況に到っている。
4. 条件思考を考えて気付いたこと
(1) 我々は“条件の海”を航海している
目的=戦略を持っていないと、漂流したり難破して目的地にたどり着けない。
戦略を持つことの重要性を再認識。
(2) 人は未来を正確に予測することは出来ない
物事や現象は確率論的に起こるものがある。
(3) チャンスに前髪はない
条件は刻々と変化し、全く同じ条件は二度と生じない。
(4) ベストな解は存在しない
必要なすべての条件をベストにすることは出来ない
(5) 従来からある非確率論的思考に注意する
因果論、結果論、二元論及び努力万能論は、人類の歴史的産物、使い易いが注意を要する。
5. 今後について
貴重なるご意見を頂きましたので、これらを参考にさらにこの思考法を進化させたいと思います。
以上