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2019年4月12日

令和1年5月例会報告

日時  : 5月9日 木曜日 18;30 ~ 21;00
テーマ :城野先生のDVD「東西古今人間学」の鑑賞会 第4回目
場所  : 港区立商工会館
司会  : 石田 金次郎

DVD「東西古今人間学」第1巻第2回後半のビデオを見て、城野先生が次のような事を言っているのが印象的である。
(1) 人間の脳の構造からして、古代の人間と現代の人間に違いがない。人間と人間の関係、人間と人間の関わり合いは、古代の人達も現代の人達もほとんど差のない反応をみせたに違いない。人と人との関係が人生であり、そして仕事でもある。
(2) 歴史上の人物達が人間の行動学を実際に示してくれている。我々にとって古代の人達が取った行動、活動というのは大いに参考になる。
(3) 戦略は大胆に、戦術は細心にといっている。戦略を決めたら、戦術は多種多様にあると。

織田信長も豊臣秀吉、両者とも人間でいえば「たたき上げ」の行動学の人物であろう。人任せではなく、自分で意思決定して行動した人物である。
彼らは、時代の風を感じ、時代の武器も知り、人間の行動学もわかり、そういった要素をしっかり持った人物として、戦略を持ち且つ具体的で多様な戦術を自ら編み出し、それを実行する人材を発掘し育て、時代を切り開いて来たのだと思う。
「人間学」の対象として、そういった歴史上の人物の織田信長や豊臣秀吉を取り上げ、それぞれの「戦略と戦術」を分かりやすく説明している。
この秀吉についての段のDVDでは、賎ヶ岳の戦いは時間差と科学的計算による武力の勝利と説き、小牧長久手の戦いは、天下統一の為の戦略として、家康に対しては武力の戦いではなく、家康の自尊心、面目を立て、政略結婚などありとあらゆる手を使って家康を味方に付けることに心を砕く戦術を説いている。そして、天下統一の総仕上げの小田原城の攻
略には、計算された圧倒的な武力を使うことなく、また、焦ることなく小田原城の北条を降伏・開城に追い込む、心憎い作戦である。天下統一の戦略のために、何んな戦術が必要かつ重要なのかを心得ているのである。

(感想雑感)
*1参加者の感想は、信長・秀吉・家康と同時代を生きた英雄達を遺伝学的に解明できないだろうかとの意見。遺伝とは世代を超えて形質が伝わっていくことであるが、時代が個性にも影響を与えて、人生の考え方として影響を与え伝えるのか思い、面白い観点であると思った。
戦国時代という時代の変わり目には、鉄砲などの武器の進歩が関わっているという意見。幕末から明治に掛けての維新、太平洋戦争などもそうであったように思った。
*2信長・秀吉・家康は、それぞれに際だった個性の違いがあり、書物ではいろいろな描かれ方をしている。ホトトギスの俳句には、それぞれの性格をたとえた俳句がある;信長「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」、秀吉「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」、家康「鳴かぬなら鳴くまでまとうホトトギス」である。信長は短気で激しい性格、秀吉は工夫をする性格、家康は我慢強い性格などいわれているが、この3人は行動の人である。
昨今、日本の企業の存在感が薄くなっているのは、経営トップが事業の方向性の戦略を打ち出す能力が乏しくなってきたからではないかと思う。事業を引っ張る力や事業を肌で理解し将来の姿を描く能力が欠如して、突き上げるような事業方向性が出てこないし、出てきても遅い。結果、管理指向の組織的決定となっているからではないかと危惧する。戦い方を忘れてしまってはいないか。トップは、世界を股に掛けて行動する、信長や秀吉の爪の垢を飲む必要が無いか、と思う。
*3 西洋では、歴史が重要な必須の科目となっているらしい。城野先生の「歴史上の人物達が人間の行動学を実際に示してくれている」というのは至言であろう。歴史を学ぶことは、国際化時代に相手を知る重要なヒントになるということだ。現代の米中の貿易戦争も、米国の中国に対する認識が極めて乏しかったこと、中国の専門家がいなかった結果ではなかろうかと思う次第である。

 ひるがえって、日本は世界を相手にこの国際時代を乗り切らねばならない。
そのためには、西洋に限らずアジアや中東、アフリカなどの歴史・文化の研究を怠ってはならないのではないかと思う次第である。