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2019年11月22日

令和1年12月例会報告

日時  : 12月12日 木曜日 18;30 ~ 21;00
テーマ :城野先生のDVD「東西古今人間学」の鑑賞会 第10回目
場所  : 港区立商工会館
参加費 : 1000円
司会  : 松本 友

DVD「東西古今人間学」第3巻第5回後半要旨
ナポレオンにみる人間学後半
1.ナポレオンの成功
(1)他人の協力を得るには
  言うことを聞かそうと思っても人は従わない。しかし自分にも利益があるとなれば相手も協力する。そこが発展するかしないかの違いとなる。
(2)ナポレオンの連戦連勝と欧州制圧
ナポレオンが連戦連勝できた社会体制を見てみよう。
当時の欧州各国は、王制をしいており、各国の軍隊は王様の雇い兵であった。
雇い兵の場合には、逃げられないように前線に並べて、後ろから監視するような体制になる。兵隊の死傷率が高くなり、動きが遅くなる。
これに対し、フランスの革命政府の軍隊の編成は、志願兵による国民軍となった。戦略目標を持った志願兵では散兵=散らばって寝打ちが出来る。
ナポレオンは、このような社会革命の恩恵を受けた国民政府軍を利用し、自らの大砲の知識を活用し、砲兵を前面に持っていき、まず大砲で敵の前線の歩兵をつぶし、騎馬連隊を活用して、連戦連勝し、全欧州の制圧に成功した。
戦略目標を持った軍隊の例は他にはアメリカの独立戦争がある。
2.ナポレオンの失敗
(1)ナポレオンには戦略が無かった  
ナポレオンが自ら皇帝になり、新しい貴族を作ったということは、国民政府軍の士気に依存しながら、ナポレオン自身には戦略が無かったといえる。
(2)無謀なロシア侵入
これまでの欧州制圧においては、それぞれの国の王様の軍隊を打ち破れば、勝利できた。しかし征服された国民は腹を立てる。
ナポレオンの戦争の過程でフランスでは兵隊の数が少なくなる。
ロシアには各国から兵隊を集め、連合軍50万人で攻め込んだが、烏合の衆とも言える。
これまでのナポレオンの考えでは、ロシア皇帝をやっつければ良いとなるが、ロシアの皇帝はとっとと逃げて戦争をしない。
モスクワの手前まで行ってしまい、ボロジノでロシア軍が迎え撃った。
両軍とも大きな損害を被ったが、連合軍はモスクワに入った。ところが、町を焼かれて、冬の支度をしていない連合軍はどうにもならない。逃げるとなると追いかけてくる。50万いた連合軍は、国の境では2万になった。
こっちの意見を押し付けていたのでは思うようにならない。
(3)降参して、コルシカ島へ
ナポレオンは一旦体制を整えるが、ウオータールーの戦いで敗れて没落した。
個人的な征服欲で、自分のことしか考えられなくなった。そうなると相手は言うことを聞かない。結局大負けして退位せざるを得なくなった。
3.ナポレオンから教訓を学ぶ
戦略は自分一人だけ持っていても駄目。部下の一人一人が全部その身に呈した時に力になる。
企業においても、経営者の戦略が、社員の中に生きていなければ戦略とはいえない。自分がこれまでに無い条件を利用できた場合に、うまく乗っかると急速に変化できる。日本の戦後の復興において、欧米のように財閥が金を出したのではなく、日本は国民の一人一人の預金と税金を活用して、波に乗った。この間、英雄は一人も出ていない。英雄は戦略を持った国民だといえる。
日本の社会では英雄は出てこない。皆で仲良くやってどんどん発展させるほうが良い。

以上の内容を受けて、意見を集約すると、
ナポレオンの成功から学ぶこと
 ナポレオンの部隊は革命軍であり、ひとりひとりが戦略目標をもって戦っている。だが、
国王の軍隊は所詮雇われ兵、なるべく戦争をしたくないし死にたくないのでそこまで本気で戦う気がない。勝てるわけがない。

皇帝になると
 ナポレオンの戦略がなくなる。なぜなら皇帝の地位を守ることしか考えなくなったから。その後の戦争では、互いに多くの兵隊が死んでしまい戦力が減る。ロシアには50万人で行った。フランス軍だけではなく他の国の兵隊がたくさんいた。戦略目標はなかった。短期戦だと思っていたから冬服を用意しておらず、50万の兵が2万に。パリまで逃げて帰り、コルシカ島へ流された。
ナポレオンが皇帝になった後、戦略が無くなったという点を現代に置き換えると
 ベンチャー企業は少人数だがそれぞれが戦略目標を持って戦っている。しかしながら、大企業の社員はすでに出来上がった組織の中で働いているので上からの指示でしか動くことができず、それでは戦略目標の無い戦いになってしまう。

 一概には言えないが、大企業のサラリーマンの大半は学歴・コネや働き方改革で残業もしない傾向が強い。
無駄なFAX・印鑑・会議などがあり戦術なき戦略上司の元で働いていると最終的には自分のことしか考えない、相手主義ではなく自分主義になってしまうと思う。
 海外ベンチャーの場合はやる気に満ち溢れ、新しいことを自ら創り出し、長時間労働を厭わない。ジャック・マーの996は有名。
日本企業が働かない間、海外の勢いあるベンチャーが長時間労働&効率よく働いているという構図は今後日本はどうなっていくんだろうと心配になる。

焼け野原から立ち上がった日本
 日本人はもともと同じ言葉を話す単一民族であることもあって、ひとりひとりが戦略目標を持ったときに力を発揮できる。そのため、戦争、そして戦後、焼け野原から立ち上がるときの力はとても大きかった。

しかし、成長を成し遂げた後にナポレオンが皇帝になったかのような状況に陥る。

もともと日本のお家芸だった電化製品を例にとってみる。例えばスティーブジョブスは製品が1番、顧客は2番という考えではあったが、ジョブス本人が一番の顧客であったため、自分たちが使いたいものを作るんだ!という気持ちで製品を作っていた。日本でも本来は顧客の声が1番のはずが、企業として大きく成長してしまったために自分たち都合・効率・コスト削減が優先されてしまい、機能ばかり追加されてお客が取り残されてしまう。
例えばTVは電源と音量とチャンネルボタンだけあればいいしトイレも流すだけあればいいのに、いろんな機能やボタンがついてしまった結果、水を流すつもりがウオシュレットの水が飛び出てきたり。。。
エレベーターの開けるボタンを押し間違えて、人が乗ろうと走ってきているのにも関わらず閉めてしまうのはなぜだろうということを、
もう一度改めて考えた方がよいのかもしれないと思った。

加えて、中小企業を例に取ると、創業者は0から1にした力を大いに発揮できたけれど、何も苦労せず親から受け継いだ会社だと3代目が会社を潰してしまうということと同じ現象ではないかと感じる。
ユニクロは山口から世界の大企業へと上り詰めたけれど、この後ナポレオンのようになってしまうのか。かつてのダイエーのように。

ホンダは本田宗一郎の思想哲学や戦略目標を全社員が共有している気がするけれど、SONYは残念ながら井深・盛田思想哲学・戦略目標を共有し続けられなかったのではないか。どんな大きな組織や小さな会社でも、創業者の思想の芯の部分をきちんと持ちながら、時代の変化に対応していく事があるべき姿だと思う。
徳川幕府が長く続いたのはなぜかを城野さんに聞いてみたかった。

相手も良いと思うことを与えないと応じてくれない。こっちの意見を押し付けてばかりでは思い通りにならない。つまり、人のことを考えるから相手も自分のことを考えてくれる。

話が飛躍するかもしれないが、政府が金をばら撒き補助金や公共工事をしているのはもしかしたら、国民1人1人に戦略を持たせないようにするための国の操作なのかもしれない。

ナポレオンが何をしたかというのは結果としては凄いようだけれど人間としてはなんてことない、大砲を山の上に上げるために車輪でコロコロと転がしただけのこと、と考えると大企業の社長でも偉い人でも1人の人間と考えれば大したことないのかもしれない。そういったことをどう感じて考えるかで人付き合いや仕事の仕方も変わってくるかもしれない

戦略の方向を間違えないよう判断したい
頭の使い方だけなので、英雄でも1人の人間として単純に手と足と口を使って何をしただけなのかを冷静にみてみようと思う。

城野さんの生きた時代とナポレオンの生きた時代は全く違うのに城野さんのビデオから聞く話は、なぜかその時代にいたんではないだろうかという甲乙情報のように思えて、肉声の映像での鑑賞はとても有意義な時間でした。