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2020年2月17日

令和2年3月例会報告

日時  : 3月12日 木曜日 18;30 ~ 21;00
テーマ :情勢判断の方法第84号「脳力開発のすすめ」誰でもすばらしい頭になれる
場所  : 港区立商工会館
参加費 : 1000円
司会  : 古川 彰久

城野経済研究所発行の小冊子
「情勢判断の方法」第84号:「脳力開発のすすめ」―誰でもすばらしい頭になれる
の内容をご紹介し、論議することに致します。
<要旨>
1.頭はよくなるのか
 人間の脳髄は百四十億の脳細胞から成り立ち、一つの細胞から五十本位の脳神経が出ている。脳神経の末端が、一つの行動ごとに他の脳神経の末端と結合し、シナプスを形成する。こうしたつながりにより、一つの脳神経に伝わった刺激が、他の脳神経にも伝達され、それぞれの脳細胞に応じた反応がとられ、総合的な行動指令となり、身体各部を動かして、人間の活動が生まれる。
 隣の脳細胞とのつながりをどう作ってゆくかは実践活動の差異によって異なってくる。
 頭を使う積りになれば、普段脳細胞の二%位しか使わずに暮らしていても、しばらく訓練すれば少なくとも三十%位は使って暮らすようになる。
2.頭の二つの使い方
 自分で動く人と動かない人では、脳の使い方が断然違い、前者は後者の十倍も二十倍も使うことになる。脳力開発とは脳の使い方をこのようにして十分に使い機能を発揮させることです。
3.戦略を持たないと頭は働かない
 現状維持は習慣惰性で維持されるから自己行動はほんの僅かかほとんどしないですむ。つまり頭は二%使用でも結構対処してゆける。変革は他への接触で消滅されぬようにし、生き残る活動を組まなくてはならぬから、どうしても自己行動が要る。この仕事をやるぞと決めて頭を使うとそれをやり遂げるあらゆる戦術資料を動員し、試行の中からまた改正してゆく。だから自然と三十%組になってゆく。
4.脳力開発の方法―自分でやってみよ
 脳力開発は自己開発である。まず自分でやってみようと思わなければいけない。やると決心を決めて実行に着手すれば一歩一歩進んでゆく。
 脳力開発の第一歩は、やらないという戦略をとっていることを発見し自覚することから始めねばならない。阻止作用を取払って、やる気になったら、まず第一に行動結果の出ないことには頭を使わず、行動結果の出ることにだけに使うことである。第二には「もし」といった仮定に基づいて概念思考を進めず、確定的事実に基づいて、そのつながりを観察するように習慣づけることである。第三には行動結果の出る思考をしたらそれを実際行動で表現してみることである。事物は無限であり、つながりも無限だから、最初の行動開始の時に無限のデータをすべて掌握しているわけではない。目前のほんの僅かのデータで目前の行動を決心し踏み出すのである。実行してみるとそれまで見えなかった事物やつながりが、うまくゆかないという形で表れてくる。こうしてデータは増え実行は進む。こうした過程で入手されるデータはすべて客観的実在のものであり、「もし」に基づく概念的仮説ではない。
5.脳力開発で、どんなことになるのか
 二~三ヶ月このような基礎修練をしていると、次第にそれが脳力使用の習慣になってくる。そうなるといろいろなことで以前とは違ったことが起こってくる。いつでも朗らかに新しい事物に相対し、処理の活動に生き甲斐を見出すことになる。
 こうして脳力開発は事物の真体を見抜き、客観に合した対策を立てることができるから、仕事を成功に導くことができ、いつも生きがいを感じて困難に取組む勇気を培うことができる。
論議内容
1.この小冊子に掲載されている要旨の補足
(1)人間能力の差
「脳細胞と神経の数、それに神経の伝達速度が一秒20~60メートルというのも人間であれば同じであり、大差はない。だから人間としては、元来、秀才、鈍才の区別はない、ところが隣の脳細胞とのつながりを、どうつくってゆくかは、生まれてからの実践活動の差異によって、各人が違ってくる。食って、寝て、という人間生存の基本的活動に対応するシナプス形成は、生後四年までで、約80%を完了してしまう。この後は社会生活における複雑な事象への反応組織を一つ一つ積み上げてゆくことになる。成人になってからも、頭がよいといわれ、仕事がよくできるという人は、この後の電線の結合作用をたくさんつみ重ねて来たのである。」
(2)実際活動における脳の使い方について
「記憶力の問題よりも時間のかけ方、集中の度合い、問題への興味、対象の選択ということなのであって、頭のよしあしではない」
(3)脳と行動
「2%と30%の違いが出るのは、ごく簡単なスタートの差異からである。2%組は、自分は動かず、人に出してもらったのをそのままで見えるところを観察して、それでおしまいである。30%組は、自分で箱を手にとって、あっちこっち動かし、調べてみるという自己自身の身体各部を動かす指令を出しそう作動させるのである。指の先一つ動かすにも何億かの脳細胞を作動させ、各筋肉や視神経に指令し、入手情報を整理して総合する。」
2.私たち自身の生活の仕方について
(1)これまでの生活内容を振り返ってみると、幼少期の生活環境に重要な要素があるといえる。
 何も不足のない恵まれた環境で育つと、すくすくと健康に育つでしょうが、脳の使い方としては、2%で済んでしまうでしょう。
 むしろ、幼少の頃から生活環境の中で課題を与えられて、苦労あるいはチャレンジする要素があった方が、脳の活性化には役立つといえる。
(2)ある程度自分で判断ができる年代になったら、自分の行っている勉学や運動について、人生目標も考慮しながら、目標設定をしたりして、チャレンジしていくことが大切でしょう。
(3)脳力開発の学び方についても、城野先生の教えを単に学ぶだけではなく、それを自分の人生にどのように活用していくのか、その活用方法を自分なりに創り出していくことが大切でしょう。
3.脳力開発研究会、情勢判断学会等の活動状況
 小冊子は昭和60年6月ごろに発行されたもので、当時活動していた「城野経済研究所・脳力開発研究会及び各種ゼミ・情勢判断学会一覧表」が紹介されている。
 それによると、城野経済研究所は東京の本部以外に大阪、福岡、北海道、沖縄に事務所を有し、城野先生直轄の研究会として、日本護身道協会、経済の人間学講座、古事記研究会、絵画研究会、脳力開発と農業、等の研究会が開催され、更に城野経済研究所の直轄ゼミナールとして、経営ゼミナール、脳力開発将育ゼミ、脳力開発湘南ゼミ、N.L.(脳力開発・レディス)ゼミ、等が開催されていました。
 また、関係会社として、(株)脳力開発センター:社長 田中典生、(株)アクティ・ビジネス:社長 大西啓義、ヒューマンウェア研究所:所長 清水 英雄 等が活動していました。
 情勢判断学会は、東京をはじめ各地に設立され、当時24の学会が活動していたと紹介されています。
 城野先生が昭和60年12月に72歳でご逝去されて、それまで教えを受けた人々はそれぞれの立場で脳力開発を実践してきているといえます。しかし、残念ながら大きなまとまりにはなっておりません。
4.新型コロナウィルス感染症対策について
 中国から発症した新型コロナウィルス感染症が世界中に広まってきている。特にイタリアをはじめ欧州での感染者更に死者の増加が著しい。
 我が国での感染者や死者の増加は、現時点では急増には至っていないといえる。
 まずは感染者を増やさない対策が重要であるが、一方で感染した人が重症化しないような治癒力強化対策を必要ではないでしょうか。