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2020年8月26日

令和2年9月例会報告

日時  : 9月10日 木曜日 18;30 ~ 21;00

テーマ :2017年10月の例会で報告した、
      [M] X [H] = ± 論を再度発表させて頂きます


場所  : 港区立商工会館

参加費 : 1000円

演者  : 榊原 高明

1. 式の表現変更
前回発表の[M] X [H] = ±は今回、M・P=±と変更しました。
理由は[H]をhuman と置くと人間全般を指し、M(無記)に対する人間の係わり方が漠然とするため。個人P:Person )の方がMとの係わり方がより明確になると考えました。

2.例会発表後の本式の発展
森政弘さんの著書をさらに読み込んだり、いろいろな事例について考察してみました。
新たに参加された方もおられるので、前回発表の内容について概略の説明をさせていただきました。詳細については2017年10月の例会報告をご参照ください。
それを基に本論をさらに進化させていきたいと考えております。
(1)「三性の理」について
三性とは 善・無記・悪。詳細はコピーで説明。
1)大学研究室のカギの管理
初めは適当な管理(無記)であったが、不心得な学生がいて問題が起きたため助手が厳重に管理する方式(善)に変更。助手がカゼで休んだことで、一台の車も使えず。「善」が不可能に。
ルーズなやり方は「悪」、厳重な管理は「善」とみるのが一般的である。厳重な管理をすれば善が可能と錯覚している。
重要なのは学生の心が整っていなかったために他の人が車を使えなくなった(悪)が現れた点である。カギを厳重に管理しなかった、これは本質的原因ではない。
何か不都合が生じると、直ちに規則を作り、管理を厳しくし、取り締まりを強化する。心の側に手を付けず、「無記」→悪と取り違え、悪が排除できたから良い社会になると早合点する。「無記」が排除されれば、善は生じず、悪がない代わり善もない。
こうなるとやり切れない、しみったれた、活力に欠けた、死んだような面白くない社会になってゆく。善がなくなれば人々の顔つきはいきいきしなくなり、不満に満ちた、むっつりした顔が増えてゆく。
まとめてみると、初め自由で伸びのびした社会→不心得者が出た→取締りを強化→窮屈な社会へ→法律、規則がどんどん増え→矛盾だらけの、にっちもさっちも行かない世の中へ。
大切なのは、人々の心を整えること、心の掃除を皆がやらねばならない。人の心は常に汚れてくるから、これは日々必要である。これなくしてよい社会は訪れてこない。
(2)ビジネスの側面から見る
M・P=±の"-"面に着目してみる。
残念だが、人の心には悪が働くことがあり、現実としてこの世に悪い人も多数存在する。仮にこの世界に菩薩のような人ばかりなら"-"の面は現れようがない。
いろいろな人間=PがMに係るわけであり、どうしても"-"が表出する。であるならば、"-"を事前に予測、予想し、これを十分に考察することが重要である。これは個人のレベルから国家、世界レベルまで渡る。
ビジネスの面からこれを考察すれば、これに対処、対抗する技術、商品、またサービスを提供できれば多方面にビジネスチャンスが見えてくる。立派に事業として成立するはずである。
現実に、インターネットへのハッカーなどの攻撃に対処する企業は多数存在する。トレンドマイクロやソースネクスト等である。
特に人類の存続に係る影響が大きな技術やシステム、仕組みなどについては、政府や世界レベルで"-"面が生じる前に十分な事前対策が大切と考える。
この世にあまりよく物事を考えない人やずるい人、そして悪い人が存在する限り、M・P=±の"-"はどうしても現出してしまう。それ故に、この"-"に注目、注意を払えば、アクティブの反対であるパッシブ(受動的)ビジネスの種はいくらでも見つけられうる。
ここで留意すべきは、ただ"-"→悪を消し去ることを考えるのではなく、森政弘さんが再三言っているように、善は悪転することがあり、悪も善転可能であるということ。こう考えねば「無記」も消し去って、つまらない世の中になってしまう恐れについても心得ておかねばならない。
(3)改めて"P=人"がすべて
M・P=±。これが現わしているのは、Mに対するPの係り方、つまりPのレベル(人間性、精神、心、知識、経験など)ですべてが決まってしまうことを示している。
戦後の我が国のGDPを例に揚げる。
我が国の条件:自給できる天然資源は石灰石のみ。他は鉄鉱石や石油をはじめ、すべて輸入に依存。小さな島国に多くの人口がおり、通常考えれば経済発展には不利な条件である。
2000年まで日本はGDPが世界2位であった。現在は中国に抜かれて3位。
バブル前はエズラエル・ボーゲルの著書で「Japan as NO1」とまで言われました。
注目すべきは"無い無いづくし" の敗戦国日本が短期の内にここまで発展できたこと。何もないところから何かを生み出し豊かになる、これは人々(P)がそのように働き、努力した結果のなにものでもない。
しかし、世界の頂点に近づいたと思ったとたん崩壊(バブル)。それから失われた10年、20年と言われる。高名な経済学者が「バブルは人々の道徳が低下したときに発生すr」という趣旨のことを述べている。正にPの質の低下がバブルを招いたのではないか。
私見であるが、台湾でのビジネス経験から、日本の特に大企業の経営者は世界レベルに達していない者が少なからず居るように思われる。台湾の経営者は無茶じゃないかと思うような事業に果敢にチャレンジする。アクティブである。
昨今の我国の超大企業、松下、東芝、シャープ等々の不祥事や経営不振を見るにつけ残念で仕方ない。従業員は世界レベルから判断してもそれほど劣っているとは思えない。つい口ぐせで「日本はトップ不況、経営者不況なのだ」と言いたくなる。
上場企業の社長の資質、レベルを格付けする企業は出ないのか。商売になるはず、投資家にはきっと受けるでしょう。
別の事例――
(株)ジャパンディスプレイ:2012年、日立、東芝及びソニーの液晶事業を統合し、「日の丸液晶」として設立。
政府ファンド3500億円支援(税金)、さらに追加1500億円(産業再生機構)を支援。これだけ巨額の支援を受けたにもかかわらず、社長が何人代っても、やることなすこと失敗続きで、赤字体質から脱却出来ず。海外企業に買い取られる話まで出ている。
対して、先ほど不振企業例で挙げたシャープは、台湾企業である鴻海精密に買収後、鴻海流の経営で立ち直ろうとしている。
経営の無記(M)が「企業の運営の仕方」とすれば、企業の業績はM(経営)・P(人、経営者)=±で決まってしまう。
米国の事例――
古い話だが、米国の中規模ステッパー企業が、先端装置の開発遅れで苦境に。社長が交代し、中位装置でも使える汎用デバイス分野に市場を見出し業績が回復した実例がある。前の社長時代は業績不振、後から来た社長で復活。この間会社自体は何も変わっていない。社長=Pが代っただけである。

3、P(人)の質を上げるには
M・P=±の式を考察するにつれ、改めて"人"がカギ、すべてだと考える。
良い方の事例が発表の中で取り揚げたシンガポール。
小さな漁村で赤道直下の熱い国、教育レベルもそれほど高くなく、人口も少ない。こんな発展には不利な条件の国家。しかし、ここにリー・クアンユーというトップリーダーが誕生し、国を引っぱって、今やGDP世界ランキング8位である。日本は26位。仮定として、もしリー・クアンユーという指導者が出なかったら、シンガポールはここまで発展出来たでしょうか。P=人の影響力の偉大さをまざまざと感じます。
P=人次第でいか様な結果にもなるわけです。
M・P=±の式から、最も重要なのは人の質を向上させることでしょう。
ここから、我が国の政策プライオリティー №1は当然教育にあるべきでしょう。当然、知識ばかりでなく森政弘さんが言われたように心、精神が重要です。
私見ですが、文科省の旧文部省部門は教育政策で失敗を繰り返しており、到底これから激変して行く、時代に先駆けた人作りには全く期待できません。どんな教育政策を採るのか、国民全体で議論する時期ではないでしょうか。
なお、OECDの発表では、日本の公的教育支援は対象38ヶ国中下から2番目。
今、本気で"P=人"に国が総力を上げて投資すれば、まだ間に合うと期待しています。
海外で仕事をし、外から日本を見た経験のある者として、日本人にはまだまだやれる力が十分にあると信じています。
                  以上

2020年8月13日

令和2年8月例会報告

日時  : 8月13日 木曜日 18;30 ~ 21;00

テーマ :小冊子「月刊脳力61-4最終号」
      当時の情勢判断学会を偲ぼう。


場所  : 港区立商工会館

参加費 : 1000円

司会  : 古川 彰久

「月刊脳力」(脳力開発の理論と実践)は城野経済研究所が昭和44年以来発行してきた月刊誌ですが、昭和60年12月に城野先生がご永眠されたことから61年4月号が最終号となりました。
その最終号を参加者にお配りして、当時の情勢判断学会の活動状況を偲んでみましょう。

Ⅰ.「月刊脳力61-4最終号」の概要
〇風光画シリーズ
 -光と影の世界― ノサップ岬 夕日は海に
〇情勢判断の方法
 経済摩擦と日本経済発展の秘密
1. ちがいがわからねば協調はできない
2. 日本経済の解明は、欧米の「経済学」ではできない
 城野宏遺稿
〇城野宏著書紹介
〇情勢判断学会・脳力開発研究会及び
 各種ゼミ一覧表
 ・事務所
 ・研究会
 ・ゼミナール
 ・一般公開講座
 ・関係会社
 ・各地における情勢判断学会
〇情勢判断の方法 バックナンバー
〇脳力開発実践シリーズ
 脳力開発で救われた私の人生
1. 人生戦略の大切さ
2. 脳力開発との出会い
3. 昨年の反省―戦略戦術の混同―
4. 脳力開発による再出発
5. チェーン専門店の活性化―毛皮本部のピンチ―
6. 確定的要素からの出発―立場の整理-
7. 問題の本質(情勢分析)
8. 楽しみの人生を目指して―脳力開発の実践―
            種本 武司
〇脳力開発サロン
 台湾に於ける脳力開発
 ―豊姿美容院の例―  清水 英雄
〇情報ネットワーク
〇編集レポート
Ⅱ.参加者の意見交換
1. 城野先生の活動の多様性
情勢判断学、脳力開発にとどまらず、風光画や護身道等も実践されていた。
2. 情勢判断学会・脳力開発研究会等
城野先生が育成指導された方々を活用されて各地で普及活動をされてこられたが分かる。
これらの方が現在どのような活動をされておられるのか気になる。
また、ここには名前が挙がってこないが、城野先生の著書「城野宏の戦略三国志」を編集された西順一郎氏はマネージングゲームの中に脳力開発を取り込み普及活動をされており、それを受け継いで板東光秀氏も活動されておられる。
3. 城野先生著書について
城野利江夫人のご了解を経て、情勢判断学会として販売させていただいておりますのは、情勢判断学会のホームページの書籍案内
https://www.jouhan.com/book/index.html に掲載されています。
多くの書籍が売り切れてますが、まだ残っている書籍の中で、城野先生の活動の原点ともいえるものに以下の2書があります。
「祖国復興に戦った男たち(終戦後、四年間も中国で戦った日本人の記録)」
その他以下の書籍の在庫があります。
「情況判断の行動学」
「中国の発想」
「三国志の人間学」
「謀略の人間学」
「第三の経済学」
「諸葛孔明の戦略と戦術」
DVD「東西古今人間学」
4. 城野先生と古川彰久との関わり
(質問に応えて)
(1)城野先生との出会い
  城野先生は昭和39年に帰国されました。
  小生が城野先生をお会いしたのは昭和40年の1月に東大の七徳堂の柔道場でした。小生は在学中柔道部に所属し、当時は卒業してましたが、寒稽古に参加致しました。城野先生は柔道部の先輩で後輩に寝技を教えにお越しになりました。
それが縁で城野先生の活動に興味を持ち、情勢判断学を学ぶことになりました。
(2)情勢判断学の活用
  小生は住友金属工業に勤務し、勤務地も小倉、大阪、東京と移動しておりましたが、城野先生は各地でご講演されておりましたので、都合の合う時には参加させていただきました。また、情勢判断学や脳力開発について書物等でも学び、これを日常の行動に活用していくことにしました。
  私が小倉で勤務している時に城野先生が小倉でご講演されて、その時に知り合った増田寿男氏には、住金退職後、波動の世界で大変お世話になりました。
  輸出の業務に携わっている時に、米国のノースウェスタン大学の大学院に1年間留学させて貰いました。
  住友金属工業は鉄鋼業ですが、名前の示すように鉄以外の金属工業にも関心を持っておりました。小生は市場開発の仕事に携わったこともあり、一時半導体の事業にも関心を持ち、半導体の会社に出向したこともありましたが、結果的にはうまく行きませんでした。
(3)自主独立への道
  小生としては、住金退職後にどのような生活を目指すのかを考えると自立して使える資格を取っておこうと考え、平成2年に中小企業診断士の資格を取り、会社として株式会社エイエムシイ(Active Managing Consult)を設立しました。
  平成3年には医業経営コンサルタントの資格を取得しました。
  この頃は、東京情勢判断学会に参加させていただいておりました。
  また、会社が休みの間に医業経営コンサルタントの資格を活用し、病院の経営相談をいたしました。その結果今の医療体制が利権構造で、小生が実践している自然治癒力活性化増進とは相容れないものだと分かりました。
  以前小倉で知り合った増田寿男氏が東京で波動の機器を製造販売していることを知り、波動の仕事に興味を持ちました。
  平成7年3月に住友金属工業を円満退職し、独立するとともに増田氏の会社(当時会社名(株)二ホンパンナ―、後に(株)ライフフィールド総合研究所へ改名)の専務取締役に就任した。
  その後、専務取締役を辞任し、一次代理店として(株)エイエムシイが波動機器の販売を行う。
  更に、増田氏の了解を得て、独自の波動機器の製造販売を行うことになる。
(4)情勢判断学会との関わり
  城野先生は昭和60年12月にご永眠されるが、その後の情勢判断学会は城野利江夫人が取り仕切ることになった。
  東京情勢判断学会は、川手誠氏が事務局長として運営されてこられたが、諸般の事情で継続できないとのことで、城野利江夫人から小生に引き継ぐように要請があったので、平成14年2月以降小生が事務局長を引き継ぐことになりました。