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2021年11月23日

令和3年12月例会報告

令和3年12月例会報告

日時  :12月9日 木曜日 18;30 ~ 20;30

場所  : 港区立商工会館

テーマ :城野先生の「情況判断の行動学」 の第四章(3)経済発展の戦略的評価より


演者  : 松本 友

経済とは人間の実生活であり数字ではない。ただし、日本の高度成長を評価するとなると数字的側面を見る必要がある。高度成長の結果、公害が生まれ、福祉の側面では不足していることが言える。とは言え、死亡年齢は男性で74歳、女性で79歳と諸国の中でも随分と長寿である。明治時代の日本では30歳、戦前で43歳だったことを考えると明治からしたら倍以上ののびである。日本の高度成長は失敗だったのか。

そんなことから始まった今回の学びですが、高度成長という数字的な側面だけを見るのではなく、違った面を見てみると日本は医療の発達や医療機器の進歩などによって男女ともに平均寿命が急激に伸びるようになったようです。高度成長という経済だけの側面をみるだけではなく、こういった国民の健康であったり教育などの面も見るべき必要があるのではないか、という考えを学びました。

 同時に福祉環境の整った状況も、長寿国になっている要因の1つであると思います。経済だけの成長ではなく、経済を支えてきてくれた高齢の方が、安心して暮らせる国を築き上げている。

教育に関しても、全員が義務教育を受けて単一民族・単一言語を読み書きする日本人には他国と違い集団的な力が働いたのではないかと思いました。基本的に字を読めない人がいない、という環境は相当に恵まれていると思いますし、生活、仕事、趣味、すべての面で生きていくのが楽ですし意思疎通もスムーズでありがたいことです。

それ以外にも環境衛生という面でも日本は今でも非常に優れていると実感しています。タバコのポイ捨てはなかなか無くならないものの、ごみ処理の問題であったり公害問題、落書き、トイレの綺麗さなどを考えても普段何気なく生活している環境面もとても素晴らしいと実感するのは海外旅行や生活をすると日本の良さがわかります。コロナ禍において、ごみの収集が行われなくて困った国の話等も入ってきました。そういうことがない仕組みを作り、実直に運営できているというのは日本の強みでもあると思います。

様々な議論が今回も行われましたが、城野さんがこの本を書いた時代と現代では、全く状況が変わって、経済という数字だけの側面でも日本は世界から遅れを取ってしまっています。正直、高度成長時代を経験していない自分からすると、そんな時代があったことすら不思議な気がします。その大きな差がどうしてついたのかという議論も出ましたが、次回に持ち越し。

日本の中の経済需要が回っていた時代と、現在のグローバル化が当たり前になっている世の中では、どのような基準を持ち どのように変更をしていかないといけないかということも考えていく必要があります。

ただ 経済だけが発展していれば良いのかということではなく、今回学んだ
医療・福祉・公害・健康・教育などの全面情報を1つずつ見ていく必要があるのだと思います。

日本の遂げた経済成長は、同時に医療・福祉・公害対策・健康・教育の仕組みをしっかり作り上げることでもありました。その仕組みが整うことと、成長に何らかの関係性があったのだと思いますが、大枠の仕組みが整った今、諸国との差がつくのは仕方がないのか、それとも何か考えるべきことがあるのか、さらに深く考えていきたいと思います。