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平成26年3月例会報告

日時  : 3月12日 水曜日 18;30 ~ 20;30
テーマ :「顔面表情読解を通した円滑なコミュニケーションのあり方第3回-日本人の表情と微表情」
場所  : 港区立商工会館
参加費 :3000円 (日本人表情を解説した資料代込)
担当  : 清水 建二

「顔面表情読解を通した円滑なコミュニケーションのあり方」と題しましたセミナーも今回で3回目を迎えさせて頂きました。この度のセミナーでは、「日本人の表情と微表情」に焦点をあて、日本人の表情の諸特徴、外国人の表情との共通性を中心に発表させて頂きました。
セミナーの概要は表1の通りです。
1. 「プロローグ:微表情とは?」では、実際の微表情の映像をご紹介することにより、微表情とはどんな現象なのかについてご紹介させて頂きました。
2. 「微表情を読みとる力はどんな役に立つのか」では、離婚の徴候を示す表情、消費者の言動の不一致に関する研究、病気と表情の関係、共感力と表情の関係など、表情を正しく認識することによってもたらされる様々な利点を科学エビデンスに基づいてご紹介させて頂きました。
3. 「いつでも、どこでも、誰にでも現れる、万国共通の「7つの表情」」では、日本人表情写真 を題材に、他の民族との共通性、普遍的な表情の特徴に焦点を置き、日本人表情を解説させて頂きました。
4. 「質問力を上げる!微表情読みとりトレーニング」では、日本人の微表情動画を用いて、参加者の皆さまの微表情読みとり能力を診断させて頂きました。その後、その動画を分析しながら、どのポイントに注目すれば微表情の読みとり能力を向上させることが出来るかについて解説させて頂きました。さらに微表情を読みとったうえで、その次にどんなアクションを起こせばよいのかについてもご提案させて頂きました。
5. 「質疑応答」に続き、最後におまけとして不動明王のお顔を表情学的に分析することで、新たな仏像鑑賞の視点をご紹介させて頂きました。

冒頭にも申し上げましたが、本セミナーは3回目を迎えさせて頂きました。セミナーの回数を重ねさせて頂くにつれ、参加者様の微表情読みとり力も徐々に向上なさっている様子でした。また同時に参加者様の洞察力もさらに鋭くなり、核心に迫る質問などもあり、表情に対する関心が高まっていることが感じられ大変嬉しく思います。これからも円滑なコミュニケーションに役立つ表情の読み方を参加者の皆様とともに共有出来たら幸いでございます。
表1 顔面表情読解を通した円滑なコミュニケーションのあり方第3回―日本人の表情と微表情
タイトル 概要
1. プロローグ:微表情とは? そもそも微表情とは何か?どんな現象なのかについて実例を用いてご紹介
2. 微表情を読みとる力はどんな役に立つのか 家庭生活、ビジネスをしていくうえで、微表情を読みとる能力がいかに役に立つかについて、科学的知見を用いてご紹介
3. いつでも、どこでも、誰にでも現れる、万国共通の「7つの表情」 日本人の表情写真・動画を用いて、普遍的な基本7表情をご紹介
4. 質問力を上げる!微表情読みとりトレーニング 微表情読みとり能力診断テストを用いて参加者の微表情読みとり力を判定させて頂き、その能力の高めて頂くトレーニングをご紹介
5. 質疑応答 日本人表情・微表情に関する質疑応答おまけ 表情分析を通した仏像鑑賞の新たな楽しみ方をご提案

参考
4.「質問力を上げる!微表情読みとりトレーニング」
問:夫婦ゲンカの翌日。あなたの謝罪に対して妻が一言。彼女の現在の感情は?どんな対応が考えられるでしょうか?
「 お互い様ね。昨日のことは忘れましょう。」

a. あなたの謝罪を受け入れている。彼女の感情は「幸福」である。これ以上何かする必要はなさそうだ。
b. あなたの謝罪を受け入れている。しかし彼女はまだ「怒り」を感じている。もっと反省の態度を示した方が良いだろう。
c. あなたの謝罪を受け入れていない。彼女の感情は「嫌悪」である。謝罪の方法を改めた方が良いだろう。
d. あなたの謝罪を受け入れていない。彼女の感情は「怒り」である。取り敢えず何もせず様子を見よう。

※本画像の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。

解説
口は笑っているように見えますが、目尻にいわゆる「カラスの足あと」が出来ていません。これは本心からの「幸福」表情ではありません。また、上唇が引き上げられ、鼻の周り及び鼻にしわが見られます。これは「嫌悪」表情の特徴です。したがいまして、この女性は、謝罪を受け入れていなく、「嫌悪」感を感じていると考えられます。「嫌悪」はコミュニケーションの断絶 を意味します。このまま彼女の心を閉ざしておきたくないのであれば、謝罪の方法を改め、誠意ある態度をとる方策を考えた方が良いでしょう。よって正解はc.です。

講師紹介
清水建二(しみず・けんじ)
株式会社 空気を読むを科学する研究所 代表取締役社長。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーション学を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Cording System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。
20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。そして「人」 および「人をとりまく社会」というものを理解するために政治学、経済学、犯罪学、心理学、哲学、宗教学、生物学、情報学などを幅広く学ぶようになる。大学院時代に経験した研究者間の交流、様々な宗教・文化的な交流などを通じて、表情のもたらす無意識のコミュニケーションの力を痛感し、表情学を中心とした学問に没頭。しかし欧米では盛んな表情学も日本ではまだまだ発展途上であったため、その後は大学には残らず独学で海外の論文や書籍を読み、海外の研究者と交流をしながら見識を深める。
大学院修了後に従事した教育業界では、子どもの感情を読みながら展開した授業が功を奏し、最優秀講師賞を受賞。現在、日本ではまだ浸透していない微表情・表情の魅力、実用例を広めるべく企業コンサルタント、微表情商品開発、セミナー等の活動をしている。

HP
http://www.microexpressions.jp/

ブログ
http://micro-expressions.hatenablog.com/

Blog:http://www.microexpressions.jp/
表情・微表情に関する情報を発信しております。

(株)Indigo Blue(〒105-0001東京都港区虎ノ門5-1-5 虎ノ門45MTビル 3F)協力のもと共同制作した日本人画像・動画を本セミナーでは使用させて頂きます。

夫婦関係に関する研究で著名なJohn Gottman博士によって、夫婦喧嘩の際に「軽蔑(特に男性)」や「嫌悪(特に女性)」の表情が観察されると、離婚につながる可能性が高まることが実証されています。詳しくは、ジョン・M・ゴットマン/ナン・シルバー著 松浦秀明訳(2007)『結婚生活を成功させる七つの原則』第三文明社

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