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令和2年2月例会報告

日時  : 2月13日 木曜日 18;30 ~ 21;00
テーマ :城野先生のDVD「東西古今人間学」の鑑賞会 第12回目
場所  : 港区立商工会館
司会  : 榊原 高明

DVD「東西古今人間学」第3巻第6回後半要旨
<中華人民共和国の誕生と毛沢東>
(1) 憲法:中国の経済は4つ
①社会主義経済:国民党から没収した工場等を国有化。
②合作者経済:土地改革により、地主の土地を貧農へ、協同耕作、人民公社へ。
③資本主義経済:資本家への便宜を図る。
④個体経済:自作農。
(2)権力者としての毛沢東
実際に合ったことをやって成功した。権力の絶頂に居ると、反対する奴がいなくなり、廻りにおべっか使いに囲まれ、新しい知識が入らなくなる。更に自己顕示欲も強くなる。
劉少奇:一時は毛沢東を褒めたが、その後、対抗馬になると殺された。
毛沢東の写真、選集の配布:紙が足りなくなる。
毛沢東学習:国として推進するのは、行き渡っていない証拠といえる。
資本化の力が付いて来ると、インテリも力を持ってくる。相対的に共産党員の力が落ちてくる。無産階級を育てる必要があるが、下を育てないで対抗者を殺す。
反右派闘争:資本化征伐や知識分子狩り。
当初以下の4つの政党が認められた。
① 中国共産党
② 中国国民党革命委員会
③ 中国民主同盟(資本家、知識分子)
④ 中国農工党(中産階級、知識分子)
  ②~④は中国共産党の支配を受ける。
中国民主同盟をやっつけるために百花斉放をやった。:自由に発言しても良いとのことで少しずつやりだし、しばらくすると次々と意見を出しだした。1年ぐらいたったらみんな捕まえてしまった。知識階級はものを言えなくなった。
文化大革命:毛沢東と違う考えを持った次の政権を担うものをやっつけた。
この20~30年間中国は発展しなかった。
<毛沢東から教訓を学ぶ>
文化的にも経済的にも、実際に即してやったことはうまくいったが、教科書通りやったことはうまくいかなかった。求めているものをやればうまくいく。この間、中国は発展せずに、日本がなぜ発展したのか。日本には倒産という制度があるが、中国には無い。経済は人間の動きである。命を維持するための物質的基礎・手段を作っていくこと。それぞれの国は、昔からの歴史的な違いを持っている。
アメリカ:多民族国家
日本:単一民族、単一文字、統一体になりやすく階級が無い。
西欧(仏、独):貴族がまだ残っており、階級的差別はまだ大きい。
日本では、明治に天皇親政となり、藩屏として華族を作ったが、ヨーロッパやインドのような階級支配は出来なかった。日本では教育制度も行き渡り、戦略統一が出来やすい。中国における戦後の日本人の引き揚げは、負けた国の人が整然と引き上げた。
民族的なやり方を把握していき、求めていくものに合致していくことが大切である。
<人間学から学ぶこと>
これまで、信長、秀吉、武田、上杉、 ヨーロッパではナポレオン、中国の三国志 等から、歴史上の著名な人たちの行動の中から、どのような教訓が引き出せるのかを見てきました。特に人間の扱い方が重要ですね。信長のやり方は、部下を大きくしていく、また、大きくなっていく過程で新しい人材を抜擢する。その下で秀吉、明智、柴田、丹羽、滝川、池田等の武将が大きくなった。秀吉は最初は部下はいないが、戦ごとに大きくなり、高松城攻撃に際しては毛利軍全軍を相手にするほど3万人位になっている。信長が秀吉の才能を発揮させたといえる。

今回が最終の鑑賞会ですので、先生の想いを感じつつマトメテみたいと思います。
1. 教訓
 いろんな人物を取り上げ話してきた。特に人間の行動について、この中から、どんなふうにしたらうまく行き、一方うまく行かないのか。話した材料の中から自分で引き出し、ご自分の人生に役立てて欲しい。
2. 沖縄へのエール
 本DVDは沖縄での講演会のもので、先生が一番言いたかったのはこれではないでしょうか。
 沖縄の平均年収は全国平均を下回っている。しかし、先生はこれを逆転可能と仰っています。沖縄にはこれをやりとげるだけの条件がある。それには、沖縄の民族的性質、やり方を把握した上で、後は戦略的に行動するだけだ。まず、自分の回りに仲間を作りなさい。みなが求めているものを示し、欲しいものを提供しなさい。人は自分の人生の目標と合致したものがあれば張り切って働く。
3. なんのために脳力開発を学ぶのか
 なんのために脳を使うのか。―>自分の戦略目標を達成するために、正しく手と足と口を使うためである。どんな英雄、偉人であろうと、出来ることは手と足と口を使うことだけだ。頭を使うとは正しくこれらを使うことを考えること。他に何もない。で逆に言えば人間一人の力とは手・足2本ずつ、口が一つ。これだけなのである。
4. 拡大発展の方法
(1) 信長のケース
 始めは3,000騎程度の軍隊であったが人材を見出して、これを抜擢して力を発揮させ、部下を大きくすることで自分も短期間で勢力を拡大。当時15~16万人の軍を動かせたのは信長だけ。秀吉もこれに習ってゼロ人から、毛利攻めの時は3万の軍隊を有していた。彼らが見出した中に柴田、明智、加藤、福島など多数の武将がいる。
 これに対して、上杉や武田の家臣たちの軍勢はそれほど増加していない。
(2) 戦略目標の確立と統一
 これをもっていれば、実際面の戦術レベルは社員(成員)各自に考えさせやらせばよい。そうすると日本人は実によく働き成果を上げる。日本人とはそういう性質を持っている。脳力開発の普及活動をやってきて、こういうやり方をやってみるとうまく行く結果が多くの企業で出ている。この日本人の性質は敗戦で中国から引き揚げの時、混乱なく整然と行った歴史的事例でも見ることができる
 ですから事業をやるときも日本人の民族性、人間的特性を頭において組織を組み運営していかないといけない。
 戦略目標が一致していれば、仲間(同志)になれる。これは永続性がある、一方利害だけが一致した仲とのつながりは壊れやすい。どんな人でも仲間に出来るかがその人の力量。秀吉は人間心理に通じ、褒美を3倍出すなどの手管を利用したりして、仲間作りに長けていた。大きな仕事をするには経済的基盤も重要。
 信長はこれを確立する目的で、ヤクザの親分のような人間が支配していた座を廃止して、
自由に商人が商売できる条件を整え、経済を発展させ、ここから税を徴収することで経済力を蓄え勢力を拡大。秀吉もこれに習って強力な経済基盤を確立していった。
(3) 10人分の仕事をするには
 人間一人の力とは、手、足、口を動かすだけで、それを10倍にはできない。ではどうするか。そのためには10人の仲間を作ればよい。自分を手助けしてくれる人を自分の回りに集めること。秀吉の成功も多くの協力者を自分の回りに作り、全国統一という一つの目標に向かってみんなが力を発揮した結果である。
 拡大発展のために最も重要なのは戦略が一致した仲間をたくさん作ること。ここにその人間の力量が示される。
5."条件"に留意せよ
 先生は常々物事は歴史的に見よと言われておられます。
(1) ナポレオンと毛沢東
 ナポレオンはフランス革命後の状勢(条件)という背景があったからあれだけのことが出来た。毛沢東も地主や国民党の圧政に苦しんでいた民衆の不満が、存在していたという条件の下での革命成功があった。
(2) 教科書通りやると失敗する
 毛沢東も革命後2~3年間位は資本家も取り込んで、実際に合った、現実に即して行った国家運営をしていた間はうまく行って発展していた。ところが、共産主義の教科書通りやろうとして資本家やインテリ層を排除し始めてからうまく行かず、鄧小平が登場するまで30年近く中国の経済は発展しなかった。
(3) 欧米の経営手法導入の失敗
 米国流は戦時中の軍隊統率のやり方から来ている。移民の国であり、出身地、言語、考え方、習慣などみな異なったている。これを統率するために、職務分担を細かく決め、それぞれがそれを実行することで目標を達成するやり方。一方日本は単一民族、単一言語、階級差別がない。つまり根本の条件が違う。これを無視して導入しても、さっぱりうまく行かない、ということになる。
6.絶対的権力者は失敗しやすい
 ナポレオン、毛沢東、スターリンなど権力者の回りにはおべっかを使う者ばかりが集まってくる。また、正確で、新しい情報が入らなくなり、独善に陥って最後に失敗する。
7.人間学の根本
 人間と人間の関係をどう作って行くか。自分の回りに出来るだけたくさんの仲間を作って発展して行くこと。

・今回ご出席の方より、現代の歴史解釈と相違する部分があるのではないかとのご意見がございました。

・榊原の感想
 今、城野さんが生きていてくれたらなー

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