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「小江戸、川越めぐりと逆バリ商売、協同商事の地ビール研究」

4月例会  4月13日 (日曜)
「小江戸、川越めぐりと逆バリ商売、協同商事の地ビール研究」

4月の例会は、いつもの会議室から飛び出して、手と足と目と、今回は味覚も大いに活用して、川越を探索してまいりました。情勢判断学会のメンバーに、いきいき創造の会からも参加者が加わり、多方面から話がもりあがりました。あいにくの小雨模様でしたが、かえって、「小江戸」の雰囲気を満喫できる一日となりました。

 朝、9時に池袋駅集合、みんな遠足に行く子供のように随分早くから集まり、駅で一会議。急行を利用すると31分で川越駅に到着します。川越は、東武東上線とJR川越線の川越駅、西武新宿線の本川越駅、東武東上線に川越市駅の3つの駅があります。池袋へ出るなら東武東上線、新宿へ出るなら西武新宿線、大宮へ出るならJR川越線と交通の便も良いところです。
 駅からは少し裏通りを通ってゆきます。駅の近くの裏通りは、マンションが立ち並び完全なマンション街になっていることがわかります。帰りは、クレアモールと呼ばれる繁華街の中をとおりました。少し小雨模様のなかを、若い女の子や、若者が大勢歩いているのです。まるで、原宿の竹下通りかと見まちがえるといってもオーバーではないほどです。都心から離れたところで、特に大きな施設があるわけではないのに、この集客力には驚きました。(客観思考)

 駅から少し離れたところに、古い町の中心地があります。「時の鐘」を中心とした、「蔵の町並み」、「菓子屋横丁」などがあります。「蔵の街並み」は、昔ながらの土蔵作りの建物が、通りごと並んでおり、中の商店は現役のお店が営業しているのです。町並みの保存と、現役の商店とが調和しています。
 「菓子屋横丁」は、一角の通りが、駄菓子屋が集まっている通りになっています。同じような駄菓子屋ですが、けっこう遠方からも人が集まってきて、お土産として買って帰っているのです。かなりな集客力でにぎわっていました。

 川越の散策も一通り終り、ノドも良い具合に乾いてきたので、「蔵の町並み」の一角にあり協同商事の地ビールが飲める、「カフェ・エレバント」に向かいました。ここは古い建物の一部を改装し、雰囲気のあるイギリス風のパブです。ここの二階でビールを味わいましたが、内装は相当古い立派な太い梁を利用して良い雰囲気を醸しています。
 この建物の続きには、市の文化財に指定されている古い時代の建物があり、その内装を改めた昭和レトロを味わえる和風レストラン「風鈴」があります。
 まず珍しいものから“ホットビール”を注文。しかし、ここで手違い発生。このビールは今メニューにないとのこと。でも、2ヶ月位前に“風鈴”で飲んだ旨、ぜひ飲みたいと所望したところ、快くオーダーを受けてくれました。どうもこれは冬季メニューだったようです。
 一度に8名分の注文が入ったためか、かなり待たされました。やっと来た“ホットビール”は大型コーヒーカップに入って出てきました。
このビールは海外のビールコンテスト“モンドセレクション”で最高金賞を受賞したプレミアムラガービール“紅赤(Beniaka)”をかなり高い温度まで暖めたものです。コーヒーカップに入っているせいか、見た目の色はコーヒーそっくり。まず、香りを嗅いで見ました。香りは全く飛んでいず、ビール独特の香ばしい香りがします。やけどをしないように注意しながら一口飲んでみます。味は全くのビール。微妙な甘みを感じ、なかなかいけます。アルコール分は熱いせいか高めに感じます。
 寒くなったら真似してやってみようと思いますが、多分いつも飲んでいる色の薄い普通のビールでは、香りもアルコール分も飛んでしまうでしょう。
 次にオーダーしたのは無濾過ビールの“白(Shiro)”-モンドセレクション銀賞受賞です。無濾過のためか色は少し白濁しています。使われている酵母によるものか、僅かに果実のような香りがします。味はかなり個性的で、好き嫌いが大きく分かれる独特の味わいがありますが、滑らかな舌触りと喉越しはなかなかのものがあります。
 最後に、ここのビールの中で一番だれにも好かれそうな“瑠璃(Ruri)”を選びました。最高金賞受賞ビールです。
 予想通り、さわやかで軽い飲み口ですが、味自体はなかなか深みがあり、苦味のバランスも上質です。
 協同商事のビールが在日ドイツ大使館で毎年開くガーデンパーティーや、ビール祭りを真似て東京で開催される、「オクトーバーフェスト」。そこで愛飲されている理由を舌と喉(手と口と足も使って)で確認できました。

 協同商事の朝霧幸嘉社長は、1947年、岡山県の農家に生まれ、島根大学農学部を中退後、日本生活協同組合に就職しました。28歳で独立し、1982年に協同商事を設立。トラック1台から始めて、川越を拠点に「日本有機農産」というブランド名で有機野菜の産直システムを作り上げました。冷蔵車による「コールドチェンシステム」を導入し、日本で初めて地発泡酒製造を開始しました。現在では、地ビール・地発泡酒で年間700キロリットルを生産。協同商事グループの売上げは40億円。トラック140台を所有し、従業員は350人。全国からの講演依頼も多く、農業、食品、教育、村・町おこし関連の団体に呼ばれて各地で講演活動を行っています。
 「大量生産大量消費型の工業は先進国でやる仕事じゃない。工業は労働力が安くて、技術も設備も先進国から買える発展途上国が有理に決まっているでしょう。中国やインドと戦っても無理なんだから、一部を除いて、工業は先進国から消える運命なんだよ。その代わり、先進国で発展するのが食を中心としたローテクの手作り産業。みんな豊かになって、大量生産のまずいパンなんか買わないでしょう。焼きたての手作りパンが美味いに決まっているんだよ。早く安く大量に同じような物を作るんじゃなくて、ゆっくりと手間をかけて少量、個性的で本物を作る。そうすれば、大企業なんか怖くない。中小や個人のほうがよほど有利だ。そこに早く気づいてほしいんだよ。いま変わらないと、日本は手遅れになる。」
 「農業も効率化に絡め取られて、農協とスーパーの論理に服従させられた。農家側も本当の農業理論を持たず、消費者について考えることを忘れてしまつた。ただ作るだけでなく、加工し、販売することまで手がける農家が残っていたら、今の農業もここまで衰退しなかっただろう。全員が効率化に従ったのである。近代農学は間違いだらけである。第一、科学として成立していない。それは事実を見つめ、農作物の側から考えていないからである。効率化・合理化だけに走ると、重要なことが抜け落ちていく。」
=小さくても長続きする 「逆バリ商売」のすすめ= ダイヤモンド社刊  より

語録は色々あるが、いつも強調することは、「常識」にとらわれちゃダメということです。朝霧社長とは、別の日にお会いしてお話を伺うことができたのですが、頭の中には、言いたいこと、やりたいことが渦巻いていてそれが口からあふれ出ているような方です。独自の経営哲学を持って実践しています。幅広い人脈と、経営の実践に基づいたビジネスモデルを持っている方だと感じました。
 協同商事は、地ビールだけでなく、「地発泡酒」の先駆者でもある。川越産として有名なサツマイモや、りんご、スイカ、蜂蜜、茶、バナナなど様々な原料を使った、風味豊かな地ビール・発泡酒を100種類以上も開発しています。今では、地ビール・地発泡酒を作りたいという企業から委託を受けて、開発・試作から、請負生産まで行っています。100万円で開発から試作まで引き受ける。協同商事といえば、この世界では一目置かれている存在である。
 味わい深いビールをいろいろと堪能しながら、またアルコールも入って、このビールを開発した協同商事のことや、いろいろな話題で大いに盛り上がり、楽しく、有意義な時間を過ごしました。

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