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平成23年1月例会 報告

日時  : 1月12日  水曜日
      18:30 ~ 20:30
場所  : 港区立商工会館
テーマ : 「今後の情判会のありかたについて」
担当  : 古川 彰久

昨年度は、榊原高明氏が脳力開発基礎講座を開催し、新たな仲間を増やしていただきました。
今年度については、榊原氏は推進してきた海外ビジネスが軌道に乗り始めてきたので、そちらに傾注せざるを得ず、これまでのような情判会での活動は困難とのことです。
又、これまで学会誌の編集をお願いしてきました今井氏も新たな業務領域にチャレンジされるとのことで、編集業務を辞退されました。
両氏のこれまでのご協力及びご努力に深謝するとともに、今後のますますのご発展を祈念申し上げます。

これまで当学会を学び舎と位置づけてきました。
脳力開発や、情勢判断学はそれ自体が目的ではなく、それをどのように活用するかが重要です。
今まで学んできた脳力開発や、情勢判断学をどのように自分の身に付けるのか、当然その人の立場や想いによって異なります。その活用の仕方をお互いに学びつつ、切磋琢磨していこうというのが例会であります。

近年の私どもの生活環境の変化に大きく影響を与えている現象に、情報化と国際化の変革が取り上げられます。
情報にかかわる問題は、まさに脳力開発や情勢判断学の根幹に関わる問題であります。


数十年前でしたら、一つの行動を導くために、情勢の収集をし、それを分析し、その上で意見交換や討議により深めていく過程があり、それぞれの作業に相当の時間と労力を要した。
それが近年では、インターネットの発展により、非常に簡便に欲しいと思う情報を入手できるようになった。便利になったことは確かであるが、一方で、これまで情報の収集や分析にかけられた労力が減少した半面で、情報の密度が希薄になったように思う。その結果、情報に対する評価姿勢が安易になり、情報に流される恐れが懸念される。
このような情報化社会になればなるほどに、情勢判断学によって情報に対する判断力を高める必要があると考えます。判断力とはどのような力なのか。
判断すべき事態が、戦略レベルなのか戦術レベルなのかによって、判断の根拠が異なってくる。
戦術レベルならば、いくつかある案を比較して一番良いものを選択すればよい。
戦略レベルになると、例えばAかBかという場合に、Aを取ればBは取れない、Bを取ればAは取れないというように二者択一になる。このような戦略判断には決心覚悟が伴うという、まさに価値観の領域に入っていくことになり、脳力開発の主体的姿勢の確立であり、自立=自己確立、自己責任が問われることとなる。
情報化社会の進展は、価値観の多様化を生み出し、国際化の進展と共に、これまでの国家間の敷居を急速に低くしてきました。
この象徴的な動きが、最近のアラブ諸国の民衆の蜂起と言えるでしょう。これまでのそれぞれの国家の価値観が問われており、宗教問題も絡み、どのような進展を見るのか予断を許しません。
翻って我が国の現況を整理してみましょう。
戦後、貿易立国の使命を担った大企業は国策のバックアップを受け、エコノミックアニマルといわれながら着実に成長し、我が国を経済大国に押し上げる貢献をしてきた。近年の中国を始め、いわゆる新興国といわれる国々にも積極的に進出し、自動車産業や電機産業のように国際企業として活躍している企業は多い。
その結果、国内においては、少子高齢化の影響もあり、空洞化の懸念も顕在している。
もともと国内の需要を基盤に持つ産業、農林水産業、厚生医療業界、教育業界等においては、国内産業保護、組織維持あるいは弱者救済等の名目で、国(お役所)が直接的あるいは間接的に関与し、極力競争を排除し、規制により支援や保護を行ってきた。結果的に利権構造が出来上がり、時代が経ち環境が変化しても、組織が膠着化し変革が困難となるような体制を築いてきた。
このような国内における閉塞感を打破する期待を担って民主党政権が成立したと見られるが、もともと民主党の支持基盤である労働組合的発想から分配をどのようにするかということにウェイトがあったが、実際に政権を運営してみると、経営者的な発想が前提にないと分配もうまくいかないということに菅政権は気が付いたのではないか。
例えば、企業減税などこれまでの民主党の分配論からは必然性がない。しかし、今後、国際化していく企業が日本の立地に魅力がないとして他国に移っていったらどうなるだろうか。原資でさえ保証の限りではない。
また、小さな島国の日本が経済大国になったのは、自分の力だけでなれるだろうか。勿論日本の努力が前提ではあるが、歴史的経緯を見れば明らかのように、上手く米国の力を活用しながら力をつけてきたことは確かであろう。沖縄の基地問題も、単なる基地をどうするかという議論ではなく、今後の国際環境の中で日米の関係をどのように維持・発展させるのかという視点も欠かすことはできないであろう。
さらに、米国以外の近隣諸国との関係についても、それぞれの国とどのような関係を構築していくのか、国際化の流れをどのように受け止めるのか大きな課題といえる。
自分の都合の良いところは開国を唱え、都合の悪いところは鎖国をするというようなこれまでの姿勢が、我が国のあり方として望ましいのかどうか、TPPへの参加問題は突きつけているようである。

以上、私なりの視点から問題を整理してみましたが、それぞれの人がそれぞれの視点で問題を整理してお互いに討議してみるのは如何でしょうか。
現在進展している情報化と国際化の波が今後もどのように発展していくのか。いずれにせよ、価値観が多様化してきていることは確かであり、それぞれの価値観をお互いにどのように理解し合えるのか、大きな課題が横たわっているように思います。
当然のことながら、それぞれの人の立場や環境によって、関心を持つ現象や基準が異なってきます。そして行動を積み重ねていくうちに、意識するかしないかに関わらず、その人なりの価値観が形成されていくと考えます。
従って、相手の価値観を理解するには、その人の置かれた立場や環境を理解する必要があります。そのような交流を通して自らの理解力を高め、自らの価値観を高めようというのが、例会の目的であります。

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