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2015年4月12日

平成27年3月例会の報告

日時  : 3月12日 木曜日 18;30 ~ 20;30
テーマ :「ISOマネジメントシステムレジメ」 
場所  : 港区立商工会館
担当  : 飯田 豊

今、ISOは形骸化しているとの評判があります。現実認証件数は、日本では下がっております。減少しているおもな理由は、①流行が過ぎてもういいという面もあるでしょう。(維持コストがかかる)②リーマンショック、東北震災で企業活動ができなくなった。③また事業統合やシステムの統合(各事業所単位の取得から、会社として統合)④建設業界の縮小が考えられます。

独断的ですが、私の20年にわたる審査活動を通じて感じたことや経産省が平成25年にまとめた「日本工業標準調査会 標準部会・適合性評価部会 管理システム規格専門委員会・・・」中間とりまとめ等に記述した内容なども盛り込み報告しました。

お話しする骨子をまとめました。

1. MSのの歴史
調達要求事項(軍機関)→品質保証(原子力用・航空機用)→品質MS→環境MS→各分野へ拡がり。(セクター規格:自動車、航空機、食品、道路交通安全、医療機器、情報セキュリティー等々)
また各規格の整合をもたせるため、共通化として、HLS(High Level Structure)構造にして、MSの統合化を図っている。品質、環境共に2015年に規格の改訂が進められている。
HLS構造:規格の要求構成を共通化する。

2. MS認証取得数
 世界的には、中国、イタリアの伸びで、2013/2012比では、品質+3%、環境+6%と増加している。また食品、セキュリティー、医療機器は14~15%伸びている。
 一方日本では、ピークより品質約40%、環境約30%の低下がみられる。その理由は上述したものと推測される。

3. 認証する仕組み
JAB:公益法人日本適合性認定協会が、審査機関 
を認定する。審査機関が(60余機関)が各組織(会社、事業所、工場)を審査して認証し、登録  
証を発行する。(1年毎の定期審査及び3年毎に更新審査が必要)

4. 品質マネジメントシステムの活動報告書
 ・MSの企業の位置づけ 
  動的な組織と静的な組織に分類される。前者はISOを課題解決のツールととらえ、後者はISO取得が目的になっている。前者の方が、企業として伸びていることは言うまでもない。

・MSのメリット
① ルールの整備/業務の整備/ノウハウ標準化/監査の効用(企業行動への影響力)
② 対外的な信用度や評価の向上
③ 事務改善のきっかけ。経営の効率性の向上
④ 戦略の実現性を高める 等があげられる。

・MSのデメリット
① 形骸化。変化の限界年数(3~6年)
② 認証取得のみでは、もはや優位に立てない。
③ マネジメント成果の把握と評価の難しさ、士気の低下。
④ コスト(資金面・人材面)の負担大。

・認証取得理由
① 企業イメージ向上のため
② 取引先の認証取得
③ 品質向上のためのMSの構築
④ 同業他社の認証取得

・MS取得後役立ったこと
① 作業の標準化
② 事務手順書の整備
③ 対外的な信用度や評価の向上
④ 業務改善や効率化
⑤ 従業員の自覚や認識の向上
⑥ 経営戦略目標の達成     等々

・企業にとってMSはどうあるべきか
① MSは「組織全体の変革のためのもの」
② 「変革・改善」といった動的な機能を期待している。
③ 全体か現場かといえば、全体を志向している。

・事業競争力強化に資する取組の方向性
① コストを上回るメリット感
② 規制・ノルマを超えた自発的改善
③ オリナルティーを生み出すインセンティブ
④ 統合MSの有効活用
⑤ グループ単位の取組推進

・事業競争力の観点での成功事例の紹介(5事例)

・まとめ
 審査機関の問題:
  マーケットが縮小する中、良い審査サービスや新しいサービスの提供(価格競争力激化、審査員の質確保)
 組織の対応
  動的な組織を目指すためには、経営層が率先し、MSを経営ツールとして活用。

・具体的な活動
  品質・環境目標を明確に示す(経営層)
  PDCA(計画・実行・評価・アクション)の観点で管理する。
  内部監査を形だけでなく、厳格に実施する。
  是正活動、リスク対応を実行する。