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平成28年10月例会報告

日時  : 10月13日 木曜日 18;30 ~ 20;30
テーマ : 城野先生遺稿
      古事記中国語原本と翻訳
      第4回

場所  : 港区商工会館
参加費 : 1000円
担当  :フリートーキング

城野先生の遺稿を整理する中で、特に興味を引いたのが、古事記の原稿資料です。
これまで、城野先生遺稿「古事記中国語原本と翻訳」について以下の通り3回にわたり、論議してきました。

6月の例会では、榊原氏から城野先生遺稿「古事記中国語原本と翻訳」について、以下のような項目で説明がなされた。
1. 古事記とは
(1) 真福寺写本
(2) 本居宣長の翻訳とは
2. 城野宏先生の古事記翻訳
(1) 先生の古事記既刊本との時系列的関係
(2) 翻訳の目的
3. 城野宏先生の問題提起
(1) 序文と本文はつながらない
(2) 本居宣長翻訳の問題点
(3) 古事記と日本書紀の年代確定について
4. テキスト古事記(上巻)の発行者について
 7月の例会では、石田氏のご好意によりスキャナーしていただいたテキスト古事記(上巻)の資料をそれぞれが読み感想や意見を述べ合いました。
石田氏の例会報告の要約は以下の通りです。 
本原稿資料は、真福寺写本の中国語を翻訳したもので、上、中(原稿用紙83枚)、下巻(56枚)からなり、上巻のみが製本済です。面白いのは 上巻の序で、古事記の序文は漢文で書かれているのに、本文は簡単な中国語で記されていて、内容に相違があり、つながらないなど、我々が学んできた古事記の認識とは違いがあるようです。
城野さんによれば、古事記は本居宣長が日本の古語を研究し、古事記の中国式漢字配列のそばに自分の知っている古語を当てはめたのが「古事記伝」である。全部が日本の古代語らしいものに置き換えられてあり、普通の人には分からない。古事記の研究というと、原本のやさしい中国語ではなく、難しい古代語訳古事記が、まるで本来の古事記の原本だと誤解されてしまったようだ。
 城野さんは、古事記は難解で近寄り難いという先入観を突き崩し、古代日本人の生活内容を研究して、これまでの偽りの歴史から抜け出す助けにしようとされたのだと思います。この為に勉強会を立ち上げ、このテキストとして、上巻に引き続き、中巻、下巻と発刊したかったと思いますが、残念ながら先生が亡くなられたため、刊行は上巻のみとなっています。

9月の例会では、石田氏が参考資料を用意いただき、上巻に出てくる神々と命(みこと)、比売(ひめ)等の名前と系図を整理し説明頂きました。また、中巻に出てくる神武天皇以降応神天皇までの天皇や王(おおきみ)、命、比売の系図表を整理し解説をされました。
更に10月の例会でも、石田氏から補足として、下巻の仁徳天皇から推古天皇までの系図表を提示いただきました。
これまで主に古事記の内容について論議をしてきた。まだ下巻が残っているが、大体内容は理解できたといえる。また、この遺構、そのものが城野先生のご指導の元で、「古事記を中国語で読む会」事務局長の西忍氏が発行しようとしたものであります。(上巻は発行されましたが、中巻と下巻は、城野先生が亡くなられたために遺構として残されました)
西忍氏は、このテキスト作成の目的として、次のように書いています。
「古事記」に登場する人々が、その登場する時代に、どのような社会を作り、そしてどのような人間生活をおくっていただろうかということを研究したいと考え、「古事記の中の人間と社会研究会」を開くことになりました。この研究会は「古事記の時代」に興味のある人なら誰でも、できる限り多くの人々が参加しやすいようにするとともに、「使いやすい」テキストを作ることが基本であると考えました。又、研究の成果を着実に積み重ねていくためには、「事実認識がバラバラにならないように」そして、「共通の事実認識のうえに立って、討論・研究ができるように」と考え、このテキストを編集・製作しました。
従い、私達としては、情勢判断学あるいは脳力開発の立場からこの「古事記」の中から何を受け止めるのか、原点に戻る必要があります。
その意味で、これを整理するために城野先生の著書「古事記と人間」を整理することといたしました。
これまでの古事記に関する論議を総括する意味で、城野先生が脳力開発の観点から古事記について書かれた『「古事記と人間」:脳力開発による歴史の解明』を読み取り、城野先生が古事記の中から何を受け止めておられるのか整理することとし、まず郷津氏に読んでいただき整理をして頂きます。それをもとに論議することと致しました。

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