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平成30年9月例会報告

日時  : 9月13日 木曜日 18;30 ~ 21;00
テーマ :前回の城野宏著「中国の発想」とマイケル・ビルズベリー著「CHINA49」を読む 続きと城野先生の小冊子「なぜ脳力開発なのか」の再考察、第7回から第9回
場所  : 港区商工会館
参加費 : 1000円
担当  : 石田 金次郎

城野宏の著「中国の発想」とマイケル・ピルズベリー著「CHINA49」を読んで、両書の歴史的位置づけとそれぞれの中国観をみてきた。そして米中の貿易問題発生に至る歴史的背景についても一定のおさらいをした。
城野宏は、中国の発想法について、2つあると紹介している。1つは、問題解決の鍵は内部条件の問題にあるという認識である。心の持ち方が変われば具体的活動も変わるという発想法である。これに続いて「過ちを承認すれば、評価が上がる」旨の記述がある。これは、中国共産党の専売特許の洗脳教育に繋がっており、中国の一党独裁を支えてきた考え方である。が、自らの人生の道筋を決める権利を不可侵なものとして保証されている社会では、強制的な洗脳は受け入れられないのでないか。憲法には言論の自由・結社の自由・宗教の自由等書かれてはいるが、これらの権利は保護されていない。主権在党である。
2つめは、長年の戦国乱世の歴史の中で育まれてきた生活感覚の土壌である。城野宏は、戦国策の「斉王と孟嘗君の物語」をあげて、人間の心理を突いた機智縦横の妙計は深遠な人間学といっている。また、覇権を狙うのであれば、本意を外に出さない方が良いと、史記の「呉王夫差と越王勾践の物語」を上げている。これらは中国の人口に膾炙していると述べている。
宮本雄二元中国大使は、悠久の中国社会構造は道教的な筋が通った「義」で動き、そのためなら喜んで身を捨てるという道教思想が社会の底流にあると述べている。
マイケル・ピルズベリーは、呉王夫差と越王勾践の物語を、現代の西洋に対する戦略が見て取れる逸話として紹介している。何人もの中国の学者は、「全てをひた隠しにした勾践の成功に学ぶべきだ」、人民解放軍の軍人は「辛抱して待ち、より望ましい状況を創造する」と言っている。米国は歴史浅く、中国文化に対する理解不足で失敗を招いているのでははなかろうか。
マイケル・ピルズベリーは、こういった中国に対する戦略をあげている。全ては省くが、北京の指導者が見せたい中国は真の中国でない。アメリカは中国に対する考え方を根底から改めなければならない。中国の戦略・政策の内容を分析することだ。また、毎年かなりの税金が中国の発展を支援するために使われている。これを把握し公表することだ、など12点である。
前回、マイケル・ピルズベリーの著から世界銀行やWTOのこれまでの経緯を述べたが、昨今の米中の貿易摩擦については、昨今新聞紙上を賑わしている。
トランプも、日米欧の共通の問題意識としてWTOの改革がある。91年に中国がWTOに加盟した際の通商ルールに従わせることがある。WTOの協定では輸出を促進する企業への補助金を原則禁止し、そのほかの補助金も事務局への通知を求めている。
が、中国はいまでも通知なしに鉄鋼企業などに多額の補助金を出して、過剰生産が発生し、国際市場を混乱させている。中国政府はこの事態に地方政府が出しているため、把握しきれないので取り締まれないと逃げている。中国の知的財産の保護や強制的な技術移転をめぐる動きに対しても、十分な対応ができていない。
WTOのルールを改善する以外、高関税に訴える戦術はうまく機能しないのでないかとの論調の新聞がふえている。
城野先生の「脳力開発入門」第7回から第9回については、簡単に触れることで納めた。
第7回;頭の使い方で欠点も優点に、融点も欠点に変わる」副題は同族会社の優点と欠点をめぐって・・・
同族会社の優点・欠点について論及。同族会社は血縁的団結が強く、全力をかけて頑張るという優点を持っている。一方、非同族の社員が冷遇され、団結が非同族及ばないと欠点になってくる。
大・中企業の多くは同族会社ではなく、銀行、保険会社を通じた国民資本の集積による企業であり、社長以下被雇用者なのである。同族会社の優点・欠点が逆転する。
日本の大企業は中小企業との結合体として成り立っており、発展を支えているのはこうした同族の中小企業の旺盛な活動力にある。大企業の持つ優点と中小企業の持つ優点が総合的にその欠点をカバーしたから発展が得られてきたのである。
第8回;「戦略と自信」副題は脳の作用から分析せよ・・・
「自信がない」というときには、脳の指令として二つの場合がある。一つは、戦略的にはやると決定している場合で、実際行動の脳中枢からの指令は、戦略達成の為に戦術手段をあれこれ探し実行するように口と手と足を動かす。もう一つは、戦略的拒否反応で、やりたくないということである。この戦略は現状維持であって、脳の指令は手も足も動かすなと言うことである。
そして、自信とは戦略が確定しておれば、戦術はいくらでも出てくる。脳を活用せよと。
第9回;「中小企業は大企業と対立的か協力的か」副題脳力開発の問題として・・・
城野宏の見解は当時としては理解されていたが、今や中小企業は大企業と対立的か協力的かというより、グローバリゼーションの中で、大企業も中小企業も、それぞれ世界でのコスト・技術・品質などの優れたパートナーとの組み合わせを考えており、従来の枠組みの意識は薄くなっており、グループのワンセット主義より幅広く世界をみることが戦略でなかろうか。

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