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令和1年10月例会報告

日時  : 10月10日 木曜日 18;30 ~ 21;00
テーマ :城野先生のDVD「東西古今人間学」の鑑賞会 第8回目
場所  : 港区立商工会館
参加費 : 1000円
司会  : 榊原 高明

DVD「東西古今人間学」第2巻第4回後半要旨
1. DVDの概略
 前回、魏軍と戦う戦術は周瑜と孔明の間で、「火攻め」と決し、その戦術の具体的詳細を検討した。以下にその大略を示す。
(1) 敵に有能な海軍指揮官がいては困る。これを除く。
(2) 火攻めの効果を上げるために船を繋げさせる。
(3) 敵に阻止されずに敵の船に火をつける。
(4) 敵の船の方へ炎が向かうよう、東南の風が吹く時期を予測する/吹かせる
(1)について
 司令官は蔡瑁と張允で、荊州の劉表の下にいて、海軍には詳しい。これを除かねばならない。
 この時、周瑜の同窓生で、曹操の幕僚である蒋幹が周瑜を訪ねてきた。周瑜は巧妙に蔡瑁・張允から来たと思わせるニセの手紙を掴ませ、二人を殺させてしまう。
(2)について
 敵の船に火を付けても、バーと散らばったら効果がない。一気に全部を燃やしてしまわねばならない。それには船を全部繋げさせねばいけない。
 そこに再び蒋幹が周瑜を訪ねてくる。周瑜は前回、ニセ手紙を盗んだことを理由に蒋幹を山奥の一軒家に軟禁し、龐統に出会うように仕組む。
 龐統と会った蒋幹は、是非とも曹操に合うよう手引する。龐統に合った曹操は彼の能力に感心して、船酔い者が多数出て困っていた水軍について相談、彼の意見を受け入れ、船が揺れないよう全ての船を鎖で繋げさせてしまった。
(3) について
 こちらの船が敵に阻止されずに、相手方の船に火を付けねばならない。それには相手方がこちらの船を歓迎するようにすればよい。
 ここで反間・苦肉の謀りを用い、周瑜の部下の黄蓋を苦肉の刑にし、曹操へ黄蓋が糧秣輸送船で曹操側へ降参に向かうことを受け入れさせた。
(4) について
 赤壁では西北の風が常に吹いているため、火を付けると逆風でこちらが焼けてしまう。
 孔明は気候学にも通じていたと思われ、東南の風が吹くのを予測していたらしい。
 東南の風が吹き始めるや全軍攻撃開始。
 糧秣輸送船に見せかけた船が近づいてきた時、曹操軍の方もこの船の喫水が浅く、船足が速いことに気づき止めようとしたが、時すでに遅く、燃えやすいものを大量に積み、釘を打った舳先(へさき)が船に突き刺さり、これをどけることが出来ず一つに繋げられた曹操軍の船は焼け、陸側からも火を放たれ全軍が大混乱に陥って、結局100万の大軍隊が壊滅した。
2. 司会者として、今回の講演内容で重要と思うポイント
(1) 人間と人間の関係、人物測定/心理測定
 戦術を成功に導くためには人間と人間の関係が非常に重要である。また、その人間の人物を測定し、相手方の心理を読み切ることもまた重要である。
 赤壁の戦いでは、20万の軍で100万の敵を破る戦略を立てた。これを実現するため以下の戦術を立てる。
① 相手の海軍指揮官を排除
同窓の蒋幹が周瑜を来訪。蒋幹はスキを見て重要書類を盗見して、ニセ手紙を掴むだろう(心理測定)
*周瑜は100万の相手に勝つ戦略を持っていた。であるから蒋幹の来訪をチャンスと捉えることが出来た。戦略を持たず、ただチャンスが来ないかと思っている者にはチャンスが来ても、逆にそれが見えない。
②火攻めの効果を挙げるため、相手の船を繋げさせる。
  曹操が自ら船をつなぐ必要があると納得させねばならない。これが出来る者は曹操が感服するだけの人物を当らせなばならない(人間関係、人物評価:心理)
  この役が出来る者として龐統を当らせ、蒋幹が出会うように仕組む。蒋幹がインテリであるゆえに(心理)龐統の才能に感心して、曹操の元に連れて行こうとするだろう。
  また、曹操もインテリであり、龐統がスゴイ人物と評価し、龐統の助言を受け入れるだろう(人物評価、心理)
  龐統も曹操が多くの兵が船酔いで困っている心中を見抜いていた。
  曹操は自ら舟を鎖で繋いでしまう。
③ どうやって相手に阻止されずに、相手の船に接近し火を付けるか。
相手がこちらの船を歓迎して、迎え入れるようにすればよい。
反間苦肉の謀りを立て、黄蓋に苦肉の刑を処し、参謀の闤沢を曹操に合わせ、曹操の反論を読んでいた闤沢は曹操に黄蓋が糧秣輸送船を奪い、降参して来ることを受け入れさせた。(闞沢という人物の評価と曹操の心理)
燃えやすい材料を積んだ船の攻撃を受け船は焼かれ、曹操軍は壊滅。
④ 華容道で曹操逃げおおす
孔明は関羽が曹操を逃がすだろうと読んでいた。関羽は義理固い男(心理)
孔明の仕掛け通り曹操は山の上の道へやってきた。待ち構えていた関羽が打ち取ろうとするが、ニコニコしながら曹操が「やー、関羽さん、おひさぶり、じゃー」と言って通り抜け、従う兵たちも戦う気力なく、そのまま通らせてしまった。曹操が関羽の心理を読んで唖然とさせているうちに逃げおおせた。

一見不可能と思えることも、人間関係をしっかり構築して、人物測定、心理測定が行えれば、不可能と見えることも可能とすることが出来る。人間の配置をうまくやることも重要。この人間だったら相手とどれだけの影響をどんなふうに持つことが出来るか、その局面をどんなふうな塩梅で、どんなふうに処理していくだろう、と予測のできる人間でないと人は使えない。会社でも同じことで、この商売をやるにはこの人を、あの会社にやって交渉させ、どんな交渉をして、どこまで成功させてくるかの予測を持っていないと人は使えない。これが出来ない人は指揮官になれない。資格がない。
 三国志なら、周瑜はこの男ならやれると予測して龐統に蒋幹と会う準備をさせていた。そしてマンマと蒋幹は引っかかった。
2. 戦略は大胆に、戦術は細心に
例えば、社員30人の会社が業績を3倍にしようと決める。社長がソレ行け―、やるぞ、と言ってもその通りにならず失敗する。社員30人が細かく3倍になるような仕事を一人一人が積み重ねていかねば3倍にはならない。戦略は達成できない。戦術は小さな仕事を細心に一つ一つ積み上げていかねば、ならない。この積み上げていく継続性がなければ、成功しないということである。継続と言っても、同じことをただ継続しているのではなく、条件は常に変化する。この条件を満たすと、次の条件を満たさなければならない条件が出てくる。そういうことに対して、執拗に、しつこくとりついて、一つ一つ上がっていくだけの執拗性がないと戦術は出来ない。
3. 三国志の利用の仕方
 この内容を実際の自分の活動や仕事に当てはめてみると思い出しやすい。
 たとえば自分が事業をやるとき、戦術問題が出てきたら、三国志の赤壁の戦いを思い出して、戦術を実行して、次々に矛盾が出てくるのを一つ一つ解決していく。そうやって、はじめてうまくいく。
4. 参加者の意見
・今回のDVDでも勇気をもらった。  これを見て何でもできそうに思えてくる。
・これは戦国時代で、どう勝つかがテーマ。これをどう自分の生活に結び付けるか。
 ・中国の謀略の世界がよく分かる。
 ・情勢判断にはロジカルなプロセスがある。一人の力で戦略ができるものではない。  

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