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令和4年7月例会報告

令和4年7月例会報告

日時 :7月14日 木曜日 18;30 ~ 20;30

テーマ : 「脳力開発と日本経済」後半
             テープを聴く

場所  : 港区立産業振興センター
       10階 会議室3

参加費 : 1000円

演者  : 塩沢 貴良

今回も音声SNSのClubhouseを使いながら9名が集まり議論を行なった。
テープA面は経済分析であった。城野氏の経済分析をまとめると3つである。
①1900-1969年の日本の経済成長は70年間で150倍年率平均10%以上の成長を続けた。同期間のイギリスの経済成長は3.6倍であり、フランスは6倍であった。
②エコノミックアニマルと揶揄されることもあったが、経済の目的を①人間に食わせ、②着せ、③住まわせる。即ち生命を守ることにフォーカスした場合、良い経済成長といえた。
③1980年当時日本は円高不況になるとしきりに騒がれた。日本国の株と同じであり、円高は国民全体にとっては良いこと。日本は資源輸入国であり、その資源が安くなることは良いことである。また日本の成長力の力強さを感じ、アラブから投資されるようになり、世界が「円」の価値を認めるようになった。

城野氏の分析に対し、当時を知る参加者が状況を説明した。まとめると次の3つである。
①日本の製造業はそれまで生産性向上の努力をしてきたが、1ドル70円という為替相場に対し、日本国内での生産を縮小した。
②大企業にとっては技術の移転をするだけで原価が下がり、収益は改善した。以後この流れが加速した。
③大企業を支える日本に残る中小企業は海外とのコスト競争でさらにデフレが加速し、疲弊した。新たな研究開発資金が捻出来なくなった。

以上の城野氏の分析結果と踏まえ、現状の日本経済の停滞の理由を中心に様々な点から議論をした。要約すると下記のようになった。

『日本には明確な戦略がなかった』

日本の経済戦略例えば「製造業から情報産業へ」舵をきることが出来なかった。理由は日本人の「平等意識」と「現状維持」。特定の産業のみを優遇することが出来なかった。もし、当時「製造業から情報産業へ」の戦略が打ち立てられていたら下記の戦術が組立てられたと考える。

①日本の中小企業の製造業従事者に再教育を施し、情報産業に転職できるようにする。
→人への投資
②公共事業投資ではなく、情報産業に投資を行なう。
→戦略に沿った資源の集中投下
③地方での情報産業投資を活発に行なう。
→東京一極集中の回避 地方活性化
情報産業は資源輸入の必要はない。日本の条件に合っていた。歴史にもしはないが、当時この戦略を打ち立てていたならば、今の日本とは変った世界が見えていた。「日本は明確な戦略さえあればうまくいく」城野氏が言った言葉が耳に残った。

テープB面をまとめると次のようなものであった。
テープA面での城野氏の当時の経済分析を元にもっと日本経済をよくするにはどうしたらよいかと城野氏が提言したことは下記の点である。

140億個の脳細胞を正しくつかうこと。即ち戦略的発展を考える。現状維持を選ばない。戦略的発展を遂げるには、条件と原因を明確にする。たとえば日本経済発展の原因を朝鮮戦争と言う人が多い。これは違う。ひどい親の元でも立派な子は育つ。親は原因ではなく、条件である。円安も条件。条件は①動かせないか、②良い条件にできないかと考え、点検、実行を行ない、うまくいった場合はその優点は何なのか、戦略に合致しているかを反復する。

もっと日本経済の発展を考えるなら次の3つに注力する

①主体的にやる姿勢 (他人のせいに、条件のせいにしない)
②進歩発展の姿勢  (現状維持は衰退の始まり)
③相手の利益を考える。(相手6分自分4分)バランスが大切自分ばかりでは仲間が離れ、相手の利益ばかりだと続かない。相手6分に自分4分がもっとも仲間が増える割合。

上記の城野氏のまとめに対し、参加者の議論をまとめる。
・城野氏が一貫して主張していることである。
・今の世の中でもこの主張は古くならず、本質を突いている。

さらに演者である塩沢は今回の議論をもとに下記のようにまとめた

城野宏はまず戦略を決めよと言う。ここでの戦略は進歩発展か現状維持か?現状維持を選べば戦術は「人の話は聞かない」「前例踏襲」「昔の成功体験ばかりを言う」となり、世界が進歩するので衰退する。城野宏氏は「戦略さえあれば日本人は優秀」といっている。国家の戦略は?当社の戦略は何なのか?あなたの戦略は何なのか?それは戦略と戦術を混同していないか?城野宏はどんな時代でも通用する本質的な考え方を教えてくれた。私はこの考え方を今後多くの人に伝えて行きたい。

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