« 平成23年3月例会 報告 | メイン | 平成23年5月例会 報告 »

平成23年4月例会 報告

日時  : 4月13日  水曜日
      18:30 ~ 20:30
場所  : 港区立商工会館
テーマ : 「東日本大震災」
担当  : 山本周次郎

去る4月13日、例会の中で、『東北大震災』をテーマでお話しさせて頂きました。この場を借りて、当日話した内容の中心点を整理させて頂きます。

□日本の原子力行政について
福島第一原発での事故以来、一般国民や経済人、果てはこれまで原子力発電を推進してきた自民党の総裁である、谷垣氏までが、原子力発電をやめて、自然エネルギーなどに切り替えていくべきだと発言しています。

原子力発電は核分裂のエネルギーを取り出して、発電を行います。燃料棒の製造や取り扱い、そして格納容器等を循環する冷却水は放射線を浴びているため、地震やテロによって設備が破損すると、放射性物質が外部に漏出する危険性があります。この部分は他の発電方式には見られないもので、今回の事故をニュースで見た国民が、原発などやめてしまえと思ってしまうことは、ある意味では仕方ないことかも知れません。

しかしデメリットのないメリットはこの世には存在しません。例えば飛行機。飛行機ができるまでは日本からヨーロッパに渡航する場合、何ヶ月もかかりましたが、いまでは成田からミュンヘンまで約12時間で行ける様になりました。飛行機が発達した結果、我々は非常に便利な生活を送ることができるわけです。しかし飛行機は絶対安全な乗り物とは言えません。グライダーの様に機体の重量が軽く、かつ翼面積が非常に大きい場合、エンジンを積んでいなくても、翼が生み出す揚力の力で風に乗ることができ、滑空することができます。しかしジェット機は違います。万が一ジェットエンジンが全て停止した場合、機体が翼面積の割には重すぎて、滑空することができず、まもなく墜落してしまいます。それが分かっているからこそ、何重にも安全装置が設けられており、一つの安全装置が故障したくらいでは航行が支障を来さない様になっているのです。過去にもそんな安全のはずの旅客機が、故障が原因で墜落したことはありましたが、だからといって『このままでは全ての飛行機は、いずれ必ず墜落する』と決めて、飛行機が廃止になったわけではありません。

事故原因が特定できない期間は、事故機と同型の飛行機を飛行禁止にすることはありますが、その他の機体は引き続き運用し、事故原因の特定と対策立案が済めば、修繕の終えた機体から再び運行されていきます。まさに脳力開発で言うところの、『一部も見るが、必ず全体も見る』姿勢です。

その姿勢で今回の原発事故を見た場合、はたして『日本の原子力発電所を全て停止し、廃棄せよ』という考え方は、日本の国益追求にかなうでしょうか。

今回、南は茨城から北は青森まで非常に震度の高地震と津波に襲われました。福島第一原発の約20キロ南にある福島第二原発は、第一原発と同様に、地震と津波の両方におそわれたのですが、無事冷温停止に成功しているのです。

東電の上層部の取り組み方に問題がなかったとは言いません。当日の例会に於いても、参加した会員の方から、様々な情報が指摘されましたが、どれを取っても原発のプロとして疑問符を投げかけるものでした。その意味では日本の原子力行政に多数の問題があることが分かります。根本的な対策を、しかも早急に立てる必要があります。しかしだからといって今現場で必死に作業している東電の従業員達や下請けの人間達も悪いとは思えません。そして原子力発電方式のデメリットは、震災前も震災後も同じなのです。それであれば対策を立て、前よりも安全性を高めることは可能ではないでしょうか。

今現在マスコミの論調を観察すると、これまで道理原子力を続けていくのか、或いは原子力を廃止して、代替エネルギーや自然エネルギーにシフトするのか、二つに一つという様な論調が目立ちます。しかし当日の例会でお話した様に、火力発電にも固有のデメリットや難点があるのです。原子力とそれ以外の発電方式が、互いに潰し合う関係であれば、どちらが勝っても、その方式固有のデメリットに苦しめられるでしょう。

脳力開発とは戦略の一致を求めるが、戦術の多彩さはむしろ歓迎する考え方です。エネルギー確保の外国への依存度を低下させる作用が見られる限り、原子力とそれ以外の発電方式は、それぞれ並行して維持・発展させることは、むしろ供給源の多彩さにつながり、日本の国力増大を促進することにつながると思います。
□「人民解放軍医療部隊を送る」
下記の記事は3月16日、韓国の新聞『中央日報』にアップされていた記事をそのままコピーしたものです。インターネット上では大騒ぎになったが、皆さんはご存じでしょうか?

その頃は世界各国が、医療救助チーム派遣の申し出をしていた時期でしたが、この記事を読むと、幾つかの疑問が浮かんできます。

疑問点1:なぜ日本の大手マスコミは沈黙したのか?
日本のマスコミでこの記事を取り上げたのは、衛星チャンネルの『チャンネル桜』だけです。中国海軍が(100歩譲って)善意で病院船を派遣するというなら、これは日中友好を促進する絶好の機会ではないか。それなのに沈黙を守る大手マスコミは不気味に見える。

疑問点2:震災後の中国政府の不自然な態度
元海上保安官の一色正春さんが、尖閣沖で中国の工作船のビデオをネットで公開した際、自分たちの意図的な領海侵犯を棚に上げ、『全ての責任は日本にある』と言い放った中国政府、なぜ震災後、急におとなしくなり、何かにつけて日本のことを褒める様になったのか。

疑問点3:なぜわざわざ自分の方から『病院船』の派遣を申し出たのか?
病院船の派遣には、いくら中国とはいえ巨額の費用が掛かる。上野に二頭のパンダを派遣するのに、一億円を請求してくる国のことだ、なぜ自分達から、しかも無償で『病院船』の派遣を申し出たのか。さらに言うなら、それほど大がかりな支援計画を立てるなら、中国外務省が記者会見を開いて世界中に知らせるのが自然なはずだ。

疑問点4:被災地に伝わった噂
震災数日後からインターネット上で、被災地で外国語をしゃべる集団が略奪行為をやっているらしいとの噂が流れていた。例えば『津波に流され,倒壊した家に戻るとすべてのタンスや引き出しが開けられてたそうです。仙台からすぐそばでの出来事です。夜中に日本語でない言葉を聞いた人が大勢います・・・』等。そんな被災地に自衛用の武器を持たない病院船をなぜ派遣し、丸腰の医者や看護婦に被災民の救助に当たらせるのか?

結論から言えば、今回の医療船派遣の申し出は、一旦震災地の港に入港させ、形の上だけは被災民の救助を行う。そして何らかの口実(例えばエンジンが故障したなど)を設けて滞在を延期させる。そしてその間に被災地で対中感情が悪化するよう、水面下で演出し、中国側の医療チームの安全が脅かされたとの口実を設けさせる。そして次は医療船ではなく、(医療船を守るための)巡洋艦を派遣してくる。これが狙いだったのだろう。

船を拠点にして、現地で活動すれば外部から補給を受けないでも、一定期間『籠城する』ことがしやすい。

また中国外務省が沈黙していたのは、病院船を日本領海に速やかに入れるためには、騒がれると都合が悪いためと考えられる。そして何の見返りも要求しなかったのは、病院船を日本領海に入れること自体が彼らの利益につながるためだ。被災地でのデマも、彼らにとっては対中感情悪化への自然な流れになり、むしろ好都合なのだ。

震災で国力が低下した国に進行するのは、世界中から非難を浴びる原因になる。しかし被災民の救援に当たる自国の医療チームが危険な目に遭えば、安全確保のため、援軍を派遣する口実ができる。我々日本人からは、そうした行為は『火事場泥棒』にしか見えない。しかしチベットを無理矢理攻撃し、自国領土化した国のことだ、口実さえあれば弱り切った瞬間を見計らって攻め込むことなど、恥でも何でもない。彼らにすれば、気を許して隙を見せたやつが悪いのだ。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)