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平成30年4月例会報告

日時  : 4月12日 木曜日 18;30 ~ 21;00
テーマ :城野先生の小冊子「なぜ脳力開発なのか」の再考察
場所  : 港区商工会館
担当  : 榊原 高明

この小冊子は月刊PHPへ先生が起稿されたものの抜粋から成っています。「脳力開発」の必要性、重要性のツボが解説されています。
 今回は全12回の内、1~3回分を担当しました。

はじめに-
 タイトルの「嘆きの人生を楽しみの人生に」を見て、改めて先生の人々への愛情を感じます。全ての人が、楽しく、素晴らしい人生を展開して欲しい、この思いが込められたタイトルでしょう。
 これを実現する方法が、脳力開発であり、情勢判断学です。
 これはだれでもが学び、実行できることです。なぜならだれでもが140億個の脳細胞を平等に与えられているからです。

1.第1回 なぜ「脳力開発」なのか
「脳力開発」であって一般に言われる「能力開発」ではない。能力は脳力を使った結果を取り上げる。ここでは脳の使い方自身を問題にしている。
人間は脳細胞の使い方を知り、その無限に近い可能性を自覚すればあらゆることができるようになる。
難しいとされることも易しくなり、悲しいと嘆き、恨んでいたことも、楽しく愉快な人生に変えることができる。嘆くのも、愉快にするのも脳の指令次第である。これを妨げているのが、これまでの習慣であったり、外部からの情報などから、一方的な反応だけに脳の反応回路を固定してしまうからである。
脳力開発と情勢判断学は人間の世界を楽しく、愉快に変えてゆく活動である。
具体的には、出生以来つくり上げて来た頭脳コンピュータープログラムをずっと効率的なものに入れ換え、人間の力を何倍、何十倍にしようとするものである。
・人間のできることは三つしかない
口を動かす、手を動かす、足を動かすことである。それ以外は何もできない。
外界に対して、自分の希望が実現できるように口と手と足を動かすか、それともできないように動かすかというだけの差だ。
今うまくいかぬというのは失敗ではなく大事な経験であり、うまくゆく動かし方を逆の面から表示している。
・両面思考―多面思考
 表だけの紙はこの世に存在しない。表があれば裏があり、右があれば左が、上があれば下があり、一方だけを見ていては全貌がつかめない。
 -ハイライトの箱の観察
(詳細は「脳力開発のすすめ」P31参照)
箱の色だけでも、時間的変化、色の多少等に注意を向ければ、16の観察角度が必要だ。脳を16倍使ったことになる。
この様な多面的な観察がないと、昔に起きた「ニクソンショック」に対して、外務省の「想像できなかった」との発言や、古い有名大企業に入社できたと喜んで入ったら、幹部の頭は硬化し、官僚組織的沈滞状態ですっかり失望するなどが生じる。(松下、シャープ、東芝など)
ハイライトの箱の例のような観察思考をすることで、深い実態分析、変化発展の真相が分り、的中する情勢判断が可能となり、したがって成功率の高い対策が立てられる。

2.第2回 脳の働き方
 脳の働き方を心得ていないと、十倍二十倍の効果を出そうとしてもやり方が分からずに発揮できない。
 タバコを止められないのは意志が弱いからでなく、吸おうとする断固たる意志を持っているからである。
 会社のやり方を改革しようとするが、なかなか変えられないといった場合も、現状を維持しようという強い決心があるからだ。
 変革だ現状維持だといっても、脳の指令を発するエネルギー消費量は同等であり、どちらが難しい、易しいの区別はない。
 どんな難しい複雑な仕事も、結局口と手と足を動かしてやるしかない。
【組合せの現実化】
「創造」とは、手を使って現実のものにしないとできない。発想とか、アイデアという言葉はある。しかしイスに座ったまま「考える」のは、単に記憶を再現しているだけだ。
「創造」とは、これまでなかったものを新しく世に作り出すことだが、世界にこれまで存在しなかった物質や元素を作り出すものではない。
「発明」とは、そういうものの新しい組合せを作り出すこと。
「新しいアイデア」とは多くの人の古い経験の新しい組合せに外ならない。だから、これは自分一人の経験だけからは出てこない。せいぜい、古い経験が再現されるだけ。であるから、他人の経験-直接話したり、書物や写真、映像、(現在ならネットから)吸収できる。それらを組合せて、新しい組合せが出来る。
 例えば、コマーシャルのポスターや、TVのCMなども全て、人間、動物、器物、自然の新しい組合せである。ソフトバンクのCMでは人間と犬の組合せが見られる。
「概念」について
人間は言葉を発明し、「概念」で記憶することが出来るようになった。人間の脳は概念の結合をつくることが出来るが、その結合体が客観世界に生まれるわけではない。
「狼男」という概念結合は出来るが、この世に「狼男」が誕生し、活動するわけではない。
概念と概念の組合せは絵や文章として表現は出来る。しかし、それは現実の世界とは何の関係もない。
概念の結合と、実現される客観的実体の結合はきちんと区別しなければならない。
概念を実体があるがごとく錯覚すると、世の中が見えにくくなり、複雑に見えてしまう。

3.第3回 脳は戦略がないと動かない
 城野夫妻の例:秋の京都嵯峨野見物         
城野さん 奥様
戦略 行く 行かぬ
天気 午前中晴れ 午後くずれる
判断 行くに値する条件さがす 不都合な条件さがす
 お互いに自分に都合の良い条件をさがす。世の中にごくありふれた脳の反応の仕方。これは企業活動の中でもしばしばぶつかる。
 〔企業活動の中で〕新製品を出そうという場合
   甲:ゴーの戦略:製品は優秀、市場は広い
   乙:ストップ戦略:そう売れない
   互いに自分に都合のよい条件を持ち出す。
 〔両面思考〕
 物事はすべて二つの面から成り立つ。
 右→左、表→裏、売れる側面→売れない側面、儲かっている会社→儲からない会社等。
 つまり、二つの側面の一方だけを取り上げて議論しても、これは水掛け論であり、いつまでたっても解決しない、時間つぶしに終始する。
「売ろう」という戦略が立ったら、後はどういう条件をそろえれば売れる局面を拡大できるかを考えればよい。「討論」は不要。細かい計算の積み重ね
であり、計算が未完了だからとストップ戦略へ転換し、再び「議論」などしてはならない。これではいつまでたっても終わらない、時間消費会議となる。
〔企業の総戦略〕
企業存在の根本であり、はじめから決定されているはずのもの。
仮に、戦略的に"ゴー"か"ストップ"かを「討論」するなどは、企業の総戦略が未決定か混乱していることを示す。
人間の脳は戦略がないと動かない。これと同じで企業も総戦略を持たないことには動きようがない。
戦略が理解できている企業なら、3時間かけても未決着の会議を10分で解決できる。コストは十八分の一で、人間効率は十八倍である。

【榊原の思い】
「戦術について」
 戦略の重要性は理解できるが、戦術も重要ではないか。始めに実行した戦術が悪手であったためこれが元で倒産に至るケースもあるはず。城野先生が、戦術の選択手順などもう少し詳細に書いていてくれたらと思いますが。
 また、戦術は「討論」不要と先生は仰いますが、最適な戦術を抽出するためにも「討論・議論」は必要ではないでしょうか。
「総戦略ということば」
"総戦略"があれば"戦略"ということばが存在する。榊原はこれは「脳力開発指針集」のP66にある、「目的と手段系列(ピラミッド)」の上位、下位レベルを意味しているのではないかと理解しています。
 これは、企業戦略があれば、それより下位はすべて戦術であり、「開発戦略」「営業戦略」「財務戦略」という言い方は本来、厳密には存在しないはず。
 これは「目的と手段のピラミッド」で、仮に○○の言葉から上位の○○部を見たとき、○○部の方針は戦略とみなしてもよいからではないだろうか。
                 以上

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