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令和4年10月例会報告

日時  : 10月13日  木曜日
      18:30 ~ 20:30
場所  : 港区立産業振興センター
       10階 会議室3
会費  : 1000円
テーマ : 「東西古今人間学1」後編
テープを聴く
演者  :  神前直哉

今回も東西古今人間学のテープを聞きながら次の内容について学習を行った。

【桶狭間の合戦の信長に学ぶ】
(1)信長の戦略決定
①桶狭間の戦い
「織田信長という人間は決心が早いとか、短期でるとかいわれています。信長が短期で奇襲戦のうまい男だといわれているのは、彼を小説に書いた作家たちがいっていることで、奇襲戦をやったのは桶狭間の戦いの一回だけです。ところがこれ以外には信長は短期決戦の奇襲をやっていないのです。のちに斎藤や浅井・朝倉と戦った時にはじりじりと長期の戦争をしているわけです。
 この桶狭間の戦いを分析すると信長が世間でいわれているような人物であるとは思えないのです。
信長は清州に住む二十万石か三十万石の兵力数も約三千人位の小大名でした。対する今川義元は二万七千の兵を連れて尾張の国に出兵しました。
この戦力差の中、信長は「戦う」という戦略決定を下しました。そして戦術は、北の斎藤とは仲良くする、東の今川と戦うということを決めたわけです。信長は斎藤道三の娘を嫁に迎え、北の斎藤家から攻められる二方面作成を避けたわけです。
二方面作戦というのは大変難しい作戦であり、信長が戦うということだけを決意して、斎藤も戦い、今川とも戦うということをしていたら両方から攻められて、歴史上に名を残すことはできなかったと思うんです。この戦略決定が良かった。」
②一級・二級・三級の人物
「一級の人物とは、本人が何もいわなくても相手の気持ちや行動が理解できる人をいいます。二級の人物は、相手が説明してくれなくては作戦が立てられない人です。三級というのは、説明してもわからない人物をいうのです。人の上に立つ人は一級人物にならなければならないと思うのです。」

(2)信長の戦術決定
①敵を知り、己を知る
「相手の行動、気持ちを判断するにはまず材料集めからする必要があります。また、外に出て9倍の敵と戦うにはどうしたらよいか。これは科学的に計算ができます。『敵を知り己を知れば、百戦危うからず』まず敵と味方の力関係を知ることです。それには敵の兵力、編成、装備、それから教育訓練を知ることです。そして、味方の兵力、編成、教育訓練を知らなければなりません。」
②地形・気象を考える
「狭間というのは大軍であればあるほど長い縦列になります。信長は三河から尾張にかけての地形については十分心得ていたと思います。ですから、今川軍は棒のように長い列で進軍してくるということが十分に予想できたわけです。次は気象状況を判断しなければなりません。当時は夏の初めでして大変に暑いのです。暑いということは頻繁に休憩をするということが予測できます。そして、その時には木陰に入るだろうと考えられます。」
③指揮官の性格をみる
 「今度は今川義元という指揮官の性格を見ます。信長は「義元のお歯黒首を取ってくる」と言っています。義元はお歯黒をしていたというのです。彼は有名な文化人でしたからお公家さんの真似をして歯を黒く染め、眉を剃って細く描いていた男であったそうで、公家かぶれの生活をしていました。ということは、黒田長政とか加藤清正などのような猛将ではなかったということです。猛将であれば必ず先頭に立って率先して戦いますが、お公家さんの生活を理想とするような文化人は自ら率先して前線に立って戦うことなどしない男だとわかります。つまり、今川軍の司令部は前線でなく、かなり後方にあるということが判断できます。」
④軍隊の性格をみる
「今度は指揮官が率いる軍隊の性格を見ます。二万七千の兵力で上洛しようとする馬鹿な大将の作戦計画など、戦術眼のある部下には「あなたのためなら粉骨砕身して命を捧げましょう」なんて言う者は一人もいないと判断できます。このことから、今川軍は義元の首さえ取ってしまえば、部下の連中は京都くんだりまで行こうなどとは思わずに引き返すだろうと、信長は判断したわけです。」

 これまでの内容で、信長の実像について議論を行った。桶狭間の合戦において情報収集や分析により二方面作戦を行わないこと、そして、大軍とは正面から戦わず今川義元の首を取ることを戦術的成功の評価基準とし、その戦術を的確に実行できる一級の人物であると城野氏は信長を評価しているということであり、そして参加者も今回の学習を通じて信長が一級の人物であることには一応の納得を行えた。その信長の狭間の合戦の成果を通して信長の持つ科学的計算性を分析するという次回の学習内容を確認して、今回の学習会は終了となった。

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